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» 2007年02月26日 13時19分 公開

開発者たちからのフィードバックを熱烈歓迎中――Yahoo! Pipes

称賛の声を嵐のように浴びたWebベースアプリケーション「Yahoo! Pipes」。Yahoo! Pipesの今後やオープンソース化の可能性について担当者が答えた。

[Lisa-Hoover,Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine

 「innovative」(革新的)や「milestone in the history of the Internet」(インターネット史上の画期的事件)など、称賛の声を嵐のように浴びたWebベースアプリケーションYahoo! Pipesの最新バージョンが今週冒頭にリリースされた。Technical Yahoo!, Pipes Developmentの肩書きを持つパシャ・サドリ氏の説明によると、このツールに対して寄せられたフィードバックはおおむね肯定的な意見で占められているが、同氏としては、プログラマーコミュニティーがどのような感想を抱いているかに大きな関心があるとのことだ。

 このデータマッシュアップ用ツールの実態はいまひとつよく理解されていない節も感じられるが、さまざまなソースからの情報収集に対応していると同時に、必要に応じて最終出力にユーザーによるフィルタリングやカスタマイズを施せるという点で、大いに注目されていることに間違いはない。アプリケーションとしての位置付けは、プログラミング経験がゼロないし浅いユーザー向けと紹介はされているが、開発者やパワーユーザーの要求に応えるだけの高度な機能も多く有している。サドリ氏によると、開発チームが現在特に要望しているのは、このツールがプログラマーにとっていかに役立つかを確認してもらうことであり、そこからのフィードバックが得られれば、将来的に行うPipesへの機能追加やより創造的なアプリケーションの構築に役立てることができるだろうとしている。

 「わたしどもは開発者の方々に、各自のプログラミング技能にとらわれることなく、実際にPipesを試用してみることを呼びかけています」と同氏は語る。「特に技術に精通しているユーザーに対しては、今後Pipesの機能を拡張していく上で参考となるフィードバックが返されることを期待しています。Pipesの可能性は無限に広がっていますが、より複雑なアプリケーションを扱うための拡張を近い将来に施す予定です」

 以前よりYahoo!の提供するプロダクツやサービスについては、これらを応用したサードパーティー系アプリケーションの構築が奨励されており、そうした事情はPipesの場合にも当てはまるとサドリ氏は説明している。なおUI libraryおよびDesign Patterns libraryなど一部のツールに関してはオープンソース化されているが、Pipesで用いられているテクノロジーはオープンソース化されていない。ただし、開発者が内部を覗き見てある程度の改変を施すことは許されている。

 「わたしたちが開発者の皆さまにこの種のツールを提供している意図は、インターネットユーザーが日常的に利用できるより有用なサービスやアプリケーションを創り出してもらいたいからです」とサドリ氏は語る。「これは生まれて間もない真新しいシステムなので、まずは開発者にとって使いやすいであろうツールを整備し、独創的かつ魅力的な利用法を見つけ出してもらうことを優先しています。また将来的な展望からすると、このシステムによる最大の受益者はごく平均的なインターネットユーザーになると考えていますが、そうした恩恵がPipesというテクノロジーによって実現されたものだということを、こうしたユーザーたちが意識することはないかもしれません」

 Yahoo!が将来的にPipesのすべてを開発者に対してオープン化する可能性について、サドリ氏はこう答えている。「Pipesは生まれて間もない段階にあり、今は具体的な計画を口にできる状況ではありません。ただし現状においても、各自のデータやアプリケーションをPipesに対応したフィードとして提供するという形で、ある程度の協力をして頂くことは可能です。将来的に何を行うかは、ツールの発展に応じて検討していきます」

 このツールが備える機能を十二分に発揮させるにはある程度のプログラミング技能が必要であることをサドリ氏も認めてはいるが、その一方で、Pipesはあらゆる技術レベルの人間に利用してもらえるようデザインされているとも説明している。「(このツールは)簡単に扱えると同時に、実用に耐える柔軟性を有すようデザインされています」と同氏は語る。「例えばView Sourceという機能を使うと、システムで使われているすべてのPipeについて、その情報を図示させることができます。こうした機能は、変更を施したいPipeの実態を特定する際に役立つものであり、技術的経験の浅いユーザーであっても、独自に改変したバージョンを自分専用で使用するといったチューニングが行いやすくなるので、結果的により多数の人間に利用してもらえるようになるでしょう」

 実際このアプリケーションをごく単純に運用しようと思うなら、特定のPipeをコピーし、用途に応じたフィルタを適用してWebサイトに保存しておくだけで、得られる出力を1つのフィードにまとめることができる。サドリ氏によると、PipesのWebサイトを訪れてデータと情報の新たな統合法の存在を発見したユーザーたちからは、例えばニュースのフィードをFlickr用の画像と組み合わせるなど、開発時には思いもよらなかった独創的な使用法が編み出されているとのことだ。

 サドリ氏の説明するところでは、Pipesは生まれたばかりのヨチヨチ歩き段階にあり、このツールを用いて開発者やプログラマーたちが何をどこまでできるのか、あるいは、そこから何が生み出されてくるのかを語るのは時期尚早であるとされている。ただし考えられる可能性として、多くの従来型オンラインサービスが各種のデータベースと融合することでそれらの機能が拡張され、新たな性質を有する情報の混合体をユーザーが利用できるようになるかもしれないということだ。サドリ氏はそうした1つの事例として、不動産物件の目録と地域の学校群の情報とを組み合わせるといった使用法を取り上げ、「Pipesが登場する以前であれば、そうした構想を具体化するのは簡単な作業ではありませんでした」としている。

 いずれの新規テクノロジーもそうであるように、Pipesが今後成長していく過程にはさまざまな苦難が待ちかまえているはずなのだが、これまでに生み出されたプログラミング的な成果を見るだけでも、開発チームは満足できているとのことである。「現状で生み出された成果ないし計画段階の構想には、目を見張るべきものが存在しています」とサドリ氏は語る。「また近い将来に、より複雑なアプリケーションを扱えるようPipesを拡張することを考えています。Pipesの優れた特質の1つは、新たに作られたPipeを、ほかのPipesにおける新規モジュールの1つとして利用できることです。こうしたコンポーネントの再利用性を高めるため、必要とするコンポーネントが既に存在するかを検索する機能を改善するつもりですが、それが果たされた暁には有用性が一段と向上することになるでしょう」

 「Pipesの可能性は無限に広がっており、今は開発者たちから寄せられるフィードバックを首を長くして待っているところです」

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