ECMでラクになる!文書管理・運用の実際コンプライアンス時代のマストアイテム!エンタープライズコンテンツ管理(1/2 ページ)

新たな法令への対応、セキュリティへの対処、ユーザーの生産性を向上させる工夫などなど、IT部門のプレッシャーは絶えない。エンタープライズコンテンツ管理(ECM)の必要性は数年にわたって叫ばれてきた問題だが、その具体的な打開策はなかなか見つからなかった。Microsoft Office SharePoint server 2007(SharePoint)は、1つの指針を示す新しいシステム形態といえる。ここでは、SharePointを中核に据えたシステムが生み出すメリットを紹介する。

» 2007年03月02日 08時00分 公開
[ITmedia]

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企業に求められる管理体制

 コンテンツ処理に関するニーズは、日々高まっている。それも、かつてないほどに大量であり、形式もテキスト、イメージ、Webページ、スプレッドシート、プレゼンテーション、メール、ビデオなど、非常に多岐にわたる。それらを包括的に管理しようというのが、「エンタープライズコンテンツ管理」(ECM)だが、その最適なソリューションはこれまで存在しなかった。これは、企業の経営層やIT部門にとって、悩みのタネだった。

 このような状況の中、、多くのベンダーがECMソリューションに本腰を入れはじめ、製品も登場してきた。マイクロソフトのSharePointも、もちろんその1つだ。SharePointでは、ECMに対応する管理システムとして「コラボレーション」「ポータル」「検索」「エンタープライズコンテンツ管理」「ビジネスプロセス」「ビジネスインテリジェンス」という6つの機能領域が設定されている。これらの管理機能をベースにして、ユーザーにはOfficeアプリケーション、あるいはWebブラウザ上のポータルサイトが提供され、ドキュメントの生成から保管までのすべてを管理下に置けるようになっている。

SharePoint Server 2007 のアーキテクチャ

 SharePointを利用する利点は、開発者にもある。コンポーネントの開発において、SharePoint専用に作られた「SharePoint Designer」が利用できるほか、使い慣れた「Visual Studio」も利用可能だ。

SharePointとIRMの連携で確実な管理と利便性を両立

 SharePointと連動させて、IRM(Information Rights Management)やActive Directoryを導入することによって、セキュリティ面でのリスクを低減し、アクセス制限やトラブル発見のためのトレースも完全にこなせるようになる。最も高い管理レベルを目指すのであれば、IRMとActive Directoryとの連動は、必須になる。

 ここで、IRMとの連動によって実現されるメリットについて紹介しよう。従来、ユーザーは作成したドキュメントを共有サーバにアップロードするだけだった。しかし、管理のための各種のルールが設定されると、ユーザー自身がファイルごとにプロテクトをかけ、所定の場所において、決まった日数が経過したら移動したり削除したりしなければならい状況になった。例えば、2003年に登場した最初のIRMでも、作成した文書を閲覧したり編集したりする権限についての設定は、ユーザー(文書作成者)側が行う仕組みになっていた。

 だが、そうした状態で実際に運用を開始してみると、文書の量が増えるに従って運用の手間が膨大になり、手が回らなくなってしまう状況に陥った。それぞれのドキュメントに対し、適切な設定を行ってから保存するのは、実際の運用面から見るととても現実的ではない。

 そこで考え出された仕組みが、SharePointとIRMの連動だ。SharePointとIRMの仕組みを利用し、文書を保存する場所にポリシー設定を行い、保存した文書に対する権限をサーバ側で自動的に設定することが可能になる。導入時の初期設定段階ではIT部門の手間が若干かかるが、一度設定してしまえば、ユーザーが実際に行う作業は、指定された場所に文書を保存することのみとなる。こうすることで、1つ1つ手作業で設定する場合にくらべ、オペレーションミスなどのモレもなくなり、行き届いた管理が確実に、しかもより簡単に行える。

IRMは、SharePointのライブラリに対して働き、所定のライブラリに保存したドキュメントはセキュリティ設定が施される。ドキュメントの参照、編集などの行為は、ライブラリに対してユーザーごとに設定されている権限に従う
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