オープン化推進で企業向けアプリの携帯電話利用を――シンビアン(1/2 ページ)

携帯電話OSで世界73%のシェアを持つシンビアンが近況報告を行った。オープン化の推進やOSセキュリティへの取り組みを強化していく。

» 2007年03月10日 08時00分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 「過去7年間の累計出荷は約1億1000万台。このうち半分は2006年に出荷された」――携帯電話向けOS大手シンビアンの久晴彦代表取締役社長は、2006年の事業を振り返ってこのように述べた。

久社長 久晴彦社長

 「過去7年間の累計出荷は約1億1000万台。このうち半分は2006年に出荷された」――携帯電話向けOS大手シンビアンの久晴彦代表取締役社長は、2006年の事業を振り返ってこのように述べた。

OSシェア 携帯電話OSの地域別シェア

 2006年第4四半期(10〜12月)では約1460万台を出荷し、「1秒間に2台ペースでシンビアン端末が出荷されている」(久社長)というほど、同社OSを採用した携帯電話端末が世界で広まっている。

 英国に本拠を持つ同社は、欧州市場では9割以上のシェアを持つ。日本では2003年からNTTドコモやソフトバンクモバイル(当時はボーダフォン)から搭載端末の出荷が始まり、3月上旬現在で富士通や三菱電機、松下電器、シャープ、ソニーエリクソン、ノキアの53機種に採用された。

 国内シェアは6割近くを占めるが、2005〜2006年に185%の成長率を達成し、シェアを急速に拡大。世界全体の出荷台数の2割が日本市場だという。

オープンなSymbian OS

 Symbian OSに関する技術開発のアドバイスを担当する山田貴久ディレクター(テクニカルコンサルティング)は、「携帯電話をハンバーガーに例えるなら、当社の領域はコアとなるハンバーグ。我々はOSに集中し、ハードウェア、ソフトウェアベンダーと一緒にユーザーの求める端末を作る」と話す。

山田ディレクター 山田貴久ディレクター

その一例が複数のユーザーインタフェース(UI)のサポートだ。Symbian OS自体には特定UIが用意されていない。このため、NTTドコモ端末向けのMOAP、ノキアなど海外メーカー製端末向けのS60、UIQとの3種類のUIプログラムを利用できる。

 一方で課題となっているのが、Symbian OSを理解する技術者の不足だという。同社は世界全体で約300社と技術提携を行っており、約7000種類のアプリケーションやミドルウェアなどの製品が提供されている。

open-E Symbian OSのオープン環境

 Symbian OSは、C++での開発が基本となるため、今後のSymbian OSではPOSIXをサポートし、Cで開発された数多くのエンタープライズ向けアプリケーションの利用を促進したい考えだ。

 「サーバコンポーネントのApacheやインスタントメッセンジャーのGaimが携帯電話上で動く日が来るかもしれない。参入障壁を低くすることで幅広いビジネスシーンで活用される環境を作っていきたい」(山田氏)としている。

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