MS、Convergenceで「Dynamics」プラットフォームを発表(1/2 ページ)

Microsoftは14日までサンディエゴで開催の「Convergence」カンファレンスで同社のERPおよびCRMスイートブランドを中心とした多数の発表を行う。

» 2007年03月14日 07時00分 公開
[Renee Boucher Ferguson,eWEEK]
eWEEK

 Microsoftは3月11〜14日まで米国サンディエゴで開催中の年次「Convergence」カンファレンスにおいて、同社のERP(Enterprise Resource Planning)およびCRM(カスタマーリレーションシップ管理)スイートのブランドである「Dynamics」を中心とした多数の発表を行う。

 Microsoftはこのカンファレンスで、Dynamics CRMのマルチテナント版である「Titan」のリリースに加え、「Sure Step」と呼ばれる製品などを発表する。Sure Stepは、モデル指向の構成/実装/移行ツールシリーズで、同社の4つのERPスイートすべてにわたって容易な管理を実現する。

 しかしConvergenceで披露されるDynamicsプラットフォーム戦略については、正式発表は行われないようだ。Gartner Groupのアナリスト、イボン・ジェノビーズ氏は、「Convergenceでの最大のニュースは、Microsoftがプラットフォームを標準化して2つの製品に統合するということだ。これらの製品はDynamicsの基本プラットフォームになる。しかし同社がそれを正式に発表することはなさそうだ。AX、NAVそしてOfficeに既に組み込まれているコア技術を組み合わせたの――それが同社のプラットフォームだ」と話している。

 ジェノビーズ氏によると、自社のERPアプリケーション製品ラインですべてのMicrosoft製品を利用できるようにし、これらの製品を組み合わせて単一のERPに統合するというのが同社のこれまでの一貫した構想だったという。「現段階では、2つの製品ラインにほぼ整理された。50ユーザー以下の企業向けのNAV、そして従来のミッドマーケットより上の市場を狙ったAXだ」と同氏は話す。GPとSLは今後もサポートされるが、全体的な戦略で果たす役割は小さくなる。

 Convergenceで予定されている半ダース余りの発表の中で、Dynamicsプラットフォーム戦略に与える影響が最も大きいと思われるのが、OfficeおよびSharePoint用の「Microsoft Dynamics Client」である。これは、OfficeとSharePointに組み込まれる最大1ダースのセルフサービス型アプリケーション群で、OfficeとSharePointを使ってDynamicsのドキュメントやプロセスにアクセスことを可能にする。さらに注目されるのは、Dynamics Clientには、ISV(独立系ソフトウェアベンダー)各社がそれぞれのDynamicsベースのアプリケーションを拡張するためのプラットフォームライセンスも含まれることだ。

 Microsoftビジネスソリューション部門で製品マーケティングを担当するゼネラルマネジャー、ジェームズ・ウッツシュナイダー氏は、「パートナー各社がDynamicsを拡張するアプリケーションを何千本も開発するのを期待している。われわれはパートナーに『さあ、何でも好きなものを開発してくれ』と言っている」と話す。

 ウッツシュナイダー氏によると、MicrosoftはSharePointをDynamicsのネイティブプラットフォームにすることにより、開発者がDynamics上にアプリケーションを開発できるようにするための困難な準備作業をあらかた完了したという。

 プラットフォーム機能に関してOfficeとSharePoint(Officeスイートに含まれる)が提供するのは、ユーザー(あるいはISV)が新しいビジネスプロセスを編成・調整することを可能にするSOA(サービス指向アーキテクチャ)ベースのツールセットである。

 つまりこれは、パートナー各社が開発の土台となるSOAベースのプラットフォームを利用することができ、ユーザーはMicrosoftおよびそのチャネルパートナーから技術に関して何が提供されるか知ることができることを意味する。(ジェノビーズ氏によると、ユーザーは従来、誰から何が提供されるのかまったく分からなかったという。)

 Dynamicsプラットフォーム戦略(まだ正式名称は決まっていない)は、同社にとって新しいコンセプトではない。

 Enterprise Applications Consultingのジョシュア・グリーンバウム主任は、「Microsoftは1年ほど前から、このプラットフォームコンセプトに基づいて作業を進めてきたが、その実現のカギとなるOffice 2007が必要だった」と説明する。

 「SharePointが本格的に軌道に乗る必要があり、またMicrosoftの2つの部門が目標に向かって協力するために社内的な調整を行う必要もあった。この社内調整に熱心に取り組んだのがジェフ・レイクス氏だ。こういった取り組みの成果がサンディエゴで披露されるわけだ」(同氏)

 Microsoftにとっては、SOAベースのツールとOfficeを基盤とするプラットフォームは、SOA実現の近道となるものだ。Microsoftはこの方針を明確に示すために、「Real World SOA」を発表する。これは一種のスコアカードのようなもので、DynamicsユーザーがMicrosoftのXML/Webサービスインフラを利用してアプリケーションを配備し、システム間でデータとプロセスを共有している事例を約20件紹介している。

 「これはSOAを配備するための礎石の構築の出発点となるものだ。これを発表するのは、当社のアプローチと他社の複雑な4年間のロードマップを比較するためである。ユーザーは他社のアプローチに幻滅している」とウッツシュナイダー氏は話す。

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