MS、Convergenceで「Dynamics」プラットフォームを発表(2/2 ページ)

» 2007年03月14日 07時00分 公開
[Renee Boucher Ferguson,eWEEK]
eWEEK
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 ウッツシュナイダー氏の言う他社とは、ミッドマーケットにおけるMicrosoftのライバルであるSAPとOracleのことである。両社は、それぞれのERPアプリケーションをコンポーネント化し、自社の開発/連携プラットフォーム(SAPはNetWeaver、OracleはFusion Middleware)をそれぞれのスイートの基盤にするという意欲的なSOA戦略を推進している。

 SAPの「ESA」(Enterprise Services Architecture)は2003年に開発がスタートし、今年完成する見込みだ。Oracleのロードマップは2005年ごろにスタートし、2008年に予定されている「Fusion Applications」のリリースで完了する予定だが、同社は買収を通じてこの計画の拡張を続けている。両社とも現時点で、SOAベースの製品を幾つか提供している。

 ConvergenceでのMicrosoftの追加発表は、何らかの形でプラットフォームというテーマに関連したものだ。Microsoft Dynamics Sure Stepには、ERPアプリケーションの構成と実装を容易に行うための手法解説と実装/構成/プロセス用ツールセットが含まれる。

 もう1つの構想である「Dynamics Industry Solutions」は、強力なプラットフォームによるアプローチと、業界で通じて認められたソリューションのエコシステムとの間の「バランスを図る」ために、Microsoftが5つの業界に注力するというもの。具体的には、OEM契約や買収を通じてDynamics製品にコード(アナリストらによると、個別業界志向の技術であるようだ)を追加するというのがMicrosoftの方針だ。また同社は、認定プログラムを提供するなどして、Dynamics関連のパートナーコミュニティーの強化にもいっそう力を入れる方針だ。

 Convergenceでは、「RoleTailored」という技術もリリースされる。これは、Windows VistaとOffice 2007のルック&フィールを備えたロールベースのユーザーインタフェー(UI)を提供する。

 またMicrosoftは、Saleforce.comの対抗製品であるTitanのリリースに加え、3つのDynamicsスイートのメジャーアップグレードとなる「NAV 5.0」「GP 10.0」「SL 7」も発表する。

 NAVのアップグレードは6月にリリースの予定で、財務、購買、販売の各機能にわたって改良が加えられる。GPの新バージョンも6月に予定されており、100を超える新機能、Windows VistaとOffice 2007と同様の新UI、ビジネスインテリジェンス(BI)機能の強化、新しいワークフローエンジン、Dynamics Office Clientをベースとする検索機能などが搭載される。やはり今夏にリリース予定のDynamics SLは、Visual Studio 2005に合わせてアップグレードされた開発/構成用ツールを装備し、ネイティブな.NETアプリケーションになる。新しいUI(Office 2007がベース)およびRoleTailoredのBIビューも備えられる。

 これらのスイートをめぐる戦略の核となるのは、共有技術を通じた統合である。

 Microsoftでは当初、自社のすべてのビジネスアプリケーションを単一のコードベースに統合する予定であり、このプロジェクトは2つのフェーズを通じて2009年に完了する見込みだとしていた。ウッツシュナイダー氏によると、Microsoftは今回のConvergenceでの一連のリリースにより、各製品で単一のUIを実現することで第1フェーズを実質的に終了する考えだという。同社では、統合されたスイートを「将来のある時点で」実現したいとしている。

 さらにMicrosoftは新分野での指針を明確化すべく、ソーシャルネットワーキングおよび開発者コミュニティーをモデルにした金融コミュニティー向けWebサイトを立ち上げる予定だ。グリーンバウム氏によると、これは今までになかったやり方でDynamicsとユーザーを結び付ける取り組みだという。

 「これは業界で初めてとなる取り組みだ。MySpaceのような非常にソーシャルネットワーキング的なアプローチだ。うまくいけば、すごいものになるだろう。成功の可能性については、まだ何とも言えない」(同氏)

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