インタビュー
» 2007年03月20日 09時00分 公開

誰もマネできないネット通販――喜ばれたいから効率を追いかけるIT仕掛け人が行く(1/2 ページ)

システムやソリューションについての取材をした際、それを説明する人物その人を主役にしてもう一度話を聞いてみたくなることがある。アイティセレクト編集部記者が今回選んだのは、田坂正樹さん。プリント基板ネット通販サービス「P板.com」(ピー版ドットコム)を運営しているインフローという会社の社長だ。

[大西高弘,アイティセレクト編集部]

順調に成長続けるIT活用のうまい企業

 まず「P板.com」って何だ、と思われる方も多いだろう。P板はプリント基板のこと。あらゆる製造現場、あるいは大学などの研究機関で、日夜使われては消えていく材料である。「P板.com」は1枚からでもネット経由で注文を受け、短時間で顧客に届けるサービスを展開している。製品に実装されるプリント基板と誤解されやすいが、実験や試作品を作る上で必要な基板を取り扱っている。

 2003年の創業当初は注文を受け、回路図通りの基板を作っていただけだが、需要の高まりとともに、コンデンサなどの実装や、設計まで扱うようになった。

 年商は約7億円を見込んでおり、前年比で約40%増だという。社員数は10名に満たない。非常に効率的な経営だ。もちろん基板製造などは社内ではなく海外の提携工場が行っている。インフロー社では、そうした海外の製造現場や顧客とのコミュニケーションやサイト運営に全力が注がれている。

 そもそも記者と田坂さんの出会いは、提携工場や社内でのコミュニケーションを円滑に行うためにメールシステムを導入した話を聞きに行ったのが最初だった。事業内容を聞いて、「何でこの人がそんなことをしているのか」という素朴な疑問を持ったのだ。ただ、ビジネスは思い切りの良さを感じられた。自社で抱える必要のないものは、どんどん外へ出す。顧客との接点だけはとことんこだわる。そんなメリハリが利いた仕組みを肩肘張らずに作っているという印象を持ったのだ。

株式会社インフロー代表取締役 田坂正樹氏

成長を止めたくなかった

アイティセレクト 大学卒業後、ミスミに入社された。工業用部品の通販事業会社ですよね。

田坂 当時就職も厳しかったのですが、中でもすごく給料がいい会社があった。それがミスミでした。いやー、これはすごいぞと。定年まで勤めるなんて考えなかったので、若手のうちから仕事を任せてくれる会社ということもあって入社しました。新卒で入社したのは、私も含めて2名だったと思います。

アイティセレクト ミスミには長くいないというより、サラリーマンを長くするつもりはなかった、という感じですか?

田坂 そうですね。長くやってると成長しなくなるような気がしませんか?

アイティセレクト サラリーマンとして耳が痛い。

田坂 すべての人がそうだとは言いません。

アイティセレクト 話題を変えましょう(笑)。入社してからどんな仕事をしたのですか?

田坂 工業用のDOS/Vパソコンの通販事業のチームに入りました。いきなり新規プロジェクトです。

アイティセレクト 工業用のパソコン?

田坂 工場の生産現場で使うパソコンです。4年で黒字になりました。それで一段落ついたので、じゃあ、辞めようかなと。

アイティセレクト 普通それだけ成果が出たら、同じ会社で次の仕事を選ぶでしょう。実績を引っさげてステップアップ。辞めるのはもう少し先でいいか、とか。

田坂 大学時代の友人がみんな起業していたんですよ。その影響が強かったですね。このままじゃいけないと思ってしまった(笑)。ただ、会社から次の仕事は半導体の小口販売をネットでやれといわれたので、1年だけでいいならやらせてくださいとお願いしました。

アイティセレクト ネットには興味があったわけですね。

田坂 インターネットは徹底的にやれば、若くても大家になれるかもって思ってました(笑)。可能性があるなと。当時まだ「ビットバレー」なんて言葉が流行る前に、いろいろなネット関係の人と会って刺激を受けましたね。半導体の新事業をやる上でも役立ちました。

アイティセレクト で、予定通り一年で辞めるわけですよね。その時にはもうすでに今の「P板.com」のプランはあったのですか。

田坂 ミスミにいたころから、今の事業プランのアイデアはありました。ただ、それをはっきりと目標にして辞めたということではないです。辞めて、しばらくはネット関係のコンサルタントをやっていたんですよ。手伝ってくれと声をかけてくれる人もいたので。そうこうするうちに、ミスミ時代の知人と再会して会社を作ろうということになった。ミスミ時代の上司も出資をしてくれました。

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