誰もマネできないネット通販――喜ばれたいから効率を追いかけるIT仕掛け人が行く(2/2 ページ)

» 2007年03月20日 09時00分 公開
[大西高弘,アイティセレクト編集部]
前のページへ 1|2       

社内で徹底的に作りこんだシステムを外注する

 田坂氏は36才。若き起業家にありがちな「ギラギラ感」はまるでない。学生時代から起業を目指していたのかと思えば、最初に勤務した会社を辞めたのは、友人たちの影響が強かったと話すし、現在の事業を発案したのは自分だと、強く主張するところもない。

 記者としては、つかみどころがないようでも、どこかに芯となるようなものがあるはずだと、突っ込んで聞いてみたくなる。

 今回田坂氏にご登場いただいたのは、インフローという会社が取り組んでいる事業の効率の良さが見事だからだ。すべてがオンリーワンとも言うべき基板を効率よく作成し、顧客をつかんでいる。こうした商材をネット経由で扱うのは実はとても難しいはずなのに、である。話していて感じたのは、顧客に対する旺盛なサービス精神だ。「喜んでもらう」というフレーズが何度も出てくる。効率の良さは、サービス精神からきているのかもしれないと思った。

 話の途中、一度、田坂氏が露骨にいやな顔をした。それは学生時代のアルバイトの話をした時だ。田坂氏は、とび職のアルバイトをしていたという。いろいろな現場があるが現場主任の要領が悪いと、作業が二度手間になることがあったという。その時「ほんと、いやだったですねぇ」と顔をしかめた。とにかく無駄が嫌いなのだ。

アイティセレクト 社内のシステムはどうしていますか。

田坂 すべて外注ですよ。サーバもホスティングしています。仕事の情報はウェブで閲覧できるようにしていますし。ただし、何か新しい仕組みを作るときは社内で徹底的に作りこみます。社員全員で意見を出し合って、データベースなんてAccessでどんどん作って、基本的な仕様は構築してしまう。社内で手に負えなくなったら外注するというパターンです。

アイティセレクト それが競争力の源泉?

田坂 別に社員何千人の会社にしたいとは思っていませんが、例えば社員25人で売上高100億円の会社というのなら目指してみたいですね。誰の物まねもしないで、技術者の人たちが「おーっ、これはすごいね」と活用してくれるサービスを考えています。まだ詳しくはいえませんが、SNSを利用したものです。どこにもないサービスを作りたいですね。

アイティセレクト ところで、プリント基板などの知識はもともとあったのですか?

田坂 ないですよ。勉強していったんです。一般に流通しているものではないですから、専門書をかなり読み込みましたね。

 インターネット勃興期に「いまなら大家になれるかもしれない」と感じたものが、プリント基板のビジネスにもあったのかもしれない。今度はどんなスピード経営を始めるのか、これからも注目していきたくなった。

前のページへ 1|2       

Copyright© 2010 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ