その仮説はどこから来たのか?――テキストマイニングで分析精度を上げろアイティセレクト特選事例:新日本製薬株式会社(1/2 ページ)

顧客へのアンケートを実施することで、隠されたニーズを見つけ出し、サービスの向上を図るというチャレンジは多くの企業が行っている。しかし分析の精度については常にチェックする必要がある。質問項目が増加すればそれだけ多様な分析は可能だが、作業をするスタッフの負担は増大する。マイニングツールを活用した精度の高いデータ解析についての事例を紹介する。

» 2007年03月22日 09時39分 公開
[アイティセレクト編集部]

導入前の課題

アンケートの回答件数の増加に対応するためには、人手では限界があった。また人手による分析では、どうしても結果にもばらつきが出ていた。


導入後の効果

データの準備に時間がかかるが、分析はスピーディに行えるようになった。多様な解析機能を活用して、高い精度の分析が可能となった。


継続利用顧客を増やしたい

 新日本製薬は、「ONE To ONEヘルスケア」をコンセプトに、健康食品、化粧品、医薬品などの通信販売事業を展開している会社だ。しかし、その社名からも推察されるとおり、単なる通販企業ではない。自社で工場を有し、健康食品や医薬品などの企画・開発・製造まで行っている。

 周知のように、健康食品や化粧品などの通販市場は今、拡大の一途をたどっている。それだけに、大手食品メーカーや医薬品メーカーなどの新たな参入が相次ぎ、企業間競争もまた激しさを増してきているのが現状だ。

 「通販企業にとっては、新規顧客を獲得したら、それで終わりということではなく、その顧客にいかに継続的に商品を購入していただくかが最大のポイントになります。ですから、常に顧客満足度を上げる努力を継続していく必要があります」とIT事業部係長の日高政則氏は語る。

新日本製薬 IT事業部係長 日高政則氏

効率的で正確な分析を

 顧客満足度を上げるためには、顧客の生の声を拾い、真のニーズを把握する必要がある。そこで、同社では「お客さま満足委員会」が中心となって、10万人の定期会員に対して、2006年3月から「顧客満足度アンケート」を実施し始めた。コールセンターに対する満足度、商品に対する満足度、会報誌やDMに対する満足度などを主な内容とした、10項目ほどの選択項目と自由回答から成るアンケート用紙を配布し、結果として数パーセントに当たる数千件が回収された。

 しかし当初は、アンケート結果の分析を人手で行っていたので、非常に効率が悪かった。また、日高氏によると「どうしても判断が主観的になってしまうので、分析結果にばらつきが出てしまい、お客様の声を正確に把握することができなかった」という状況でもあったそうだ。

 「分析は正確に、スピーディにしなければならないわけですが、そのためには属性データと組み合わせて見る必要があります。しかも、一方では回収されるアンケートの件数がどんどん増えていくわけです。そうなると、もうテキストマイニング・ツールを導入するしかない、と思いました」と語るのはIT事業部DMソリューション課主任・奥園朋実氏だ。

新日本製薬 IT事業部DMソリューション課主任 奥園朋実氏

 早速、06年5月から検討に入り、2カ月後の7月に導入したのがエス・ピー・エス・エスの「Text Mining for Clementine」だった。その決定理由について、日高氏はこう語る。

 「単にテキストを分析するだけではなく、分析結果をビジネスに有効活用していくための製品群がそろっているということと、多様な業種のユーザーさんと情報交換ができる場があるということです」と。また、奥園氏は「エス・ピー・エス・エスさんのセミナーに参加して、実際にDMの分析をしてくれるのを見て、これなら自分がしている分析業務に一番近い業務で使えるし、今後、こういう展開もできるな、というイメージがすぐにわきました」と話す。

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