その仮説はどこから来たのか?――テキストマイニングで分析精度を上げろアイティセレクト特選事例:新日本製薬株式会社(2/2 ページ)

» 2007年03月22日 09時39分 公開
[アイティセレクト編集部]
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聞こえなかった声を掘り下げる

 同社ではこれまで、自社開発したシステムで売り上げデータなどの分析を行っていた。そして今度、新たにテキストマイニング・ツールを導入するに当たって、同社ではアンケートの回答をデータ入力するためのシステムも開発した。

 マイニングするテキストには、そのシステムによって入力されるデータと、コールセンターのオペレーターが顧客とのやり取りを通じて収集するデータの2系統がある。それらのデータは2台の分析用の端末を使って2人の担当者によって分析される。さらに、その分析結果は最終的にExcelのシートに落とされ、最近導入したグループウェアによって社内で共有できるようになっている。

テキストマイニングによる顧客分析

 「顧客データと照らし合わせながら、アンケートの回答内容を分析することによって、どういうお客様の声なのかというところまで掘り下げて見ることができます。ですから、より的確な対応ができるようになります」と日高氏。

 例えば、同社のコアの顧客は50代の主婦だが、分析の結果、実際にアンケートに回答してくれるのは20代、30代の若い層が多く、50代の主婦はなかなか回答してくれないことが分かった。「今までは、アンケートの回答を単純にお客様の声と判断し、それを基に仮説や対策を立てていました。しかし、実際には回答はコアのお客様の意見ではなくて、購買履歴の浅い、少数派の人たちの意見である可能性が高いわけですから、これまでの仮説や対策には現実との間にちょっとしたズレがあったかもしれません。今後は属性に合わせたより細かな対応も可能になるので、お客様に満足していただけるサービスや商品を提供できるようになるのではないかと思います」と奥園氏の期待は高まる一方のようだ。

 奥園氏は社内でのデータに対する感度向上にも注目している。「今まではそれぞれの勘や経験を頼りに行っていたので、なかなか具体的なアンケート方法について話が進みませんでした。しかし今は、分析結果をモニターに表示し、それを見ながらディスカッションできるので、話がまとまりやすくなっています。もちろん、そこで出てくるいろんな意見は、次のデータマイニングやテキストマイニングのヒントにもなっています」

 今後は、顧客の属性を分析して、離脱しそうな顧客や、多種多様な商品を並買する顧客などに分類し、それをコールセンターシステムに反映させることにより、顧客への適切なアプローチができるようにしたいという。「いずれにしても、これでやっと試行錯誤するための材料が揃ったという形です」と日高氏も言うとおり、テキストマイニングの導入によって、同社の通信販売事業は新たなステージを迎えることになりそうだ。今後の推移が注目されるところだ。

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