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» 2007年03月26日 12時45分 公開

オルタナブログ通信:モラルは崩壊しているのか――ホリエモン判決や著作権問題に見る (2/3)

[森川拓男,ITmedia]

 例えば、小林啓倫氏「シロクマ日報」のバーチャルがリアル化している?でも触れられている、mixiの読み逃げ(関連記事)について。mixiの日記やブログを読んだからといって、すべてにコメントをすることを「しなければならない」と考える人がいることに驚きだ。ブログやSNSはあくまでもバーチャル空間。そして、それは制限しない限りは広く公開されている。SNSの場合は、友人までなどの制限はあるが……。

 そういえば筆者も、ネット上で「なぜ挨拶をしないのだ?」と指摘された経験がある。そのケースでは、その人が知り合いかどうか分からなかった。また、仮に知り合いであったとしても、その人に接触したいと思って入ったのでなければ、そのまま通過するだけかもしれない。別にこれで問題はないはずだ。しかし、それが許せない人がいる。つまり「読み逃げ禁止」ということだ……。

 これはいったい、どちらのモラルが崩壊しているのだろうか。「読み逃げ禁止」が当たり前になるネット社会。何か、窮屈になるような気がするのは、筆者だけだろうか。

著作権侵害が懲役10年以下になる意味(愚直なまでも著作権)

 オルタナブログでは週間アクセスランキングが取られているが、3月12日〜18日のベスト20以内に3つもランクインされていたのが、「著作権」というキーワードにまつわるものだった。

 著作権に関するものでは、3月6日からオルタナティブ・ブログに参加している久保田裕氏「愚直なまでも著作権」。久保田氏は社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会の専務理事・事務局長なので、その視点からのエントリになるが、今後も投稿されていくと思うので、注目だ。

 このブログの19日に投稿されたエントリ著作権侵害が懲役10年以下になる意味によると、この7月に著作権法違反の罰則が引き上げられるという。これは知らなかった。

 著作権法は、被害者が訴える必要がある親告罪だ。この親告罪で、一部とはいえ「10年以下の懲役または1000万円以下の罰金またはこれらの併科」に引き上げられるというのは、なかなか重みがあるものだ。

 また、最近マスコミを騒がせていた「おふくろさん」騒動も、著作権にまつわるものと考えてよいだろう。

 今回取り上げる範囲からは少し遡るが、3月5日に投稿された栗原潔氏「栗原潔のテクノロジー時評Ver2」のエントリ「おふくろさん」事件続報に、この騒動についてのことがまとめられている。

 問題は、「おふくろさん」作詞者である川内氏がJASRACに対して、森進一が自分の作品を歌わせないように訴えたこと。JASRAC側は、改編したバージョンは歌えないとしたが、それ以上のことはできなかった。著作権法の同一性保持権侵害に当たるとしたわけである。

 このほかにも栗原氏は、米国著作権法における「フェア・ユース」の考え方について著作権は所有権ではない著作権保護期間延長と同一性保持権についてといった具合に、著作権に関して触れている。それぞれじっくりまとめられているので、一読してほしいと思う。

 この中で特に注目したいのは、著作権保護期間延長と同一性保持権について。先に、著作権法の罰則が引き上げられることは書いたが、最近議論になっているものに、著作権保護期間の延長問題がある。これは、保護期間が過ぎたら、自由に使えることになることに対して、その保護期間を延長して著作物を守ろうという動きであるが、栗原氏がリンクを貼っている小倉秀夫弁護士の発言(関連リンク)を読んで「なるほど」と感心させられた。この問題について気になる人は必読である。

 この件に関しては、大野元久氏「IT's my business」でも、厳罰化で困るのは誰か?著作権法はアイデアを保護しないで触れており、興味深い指摘がある。

 同人誌活動もしている筆者からすれば、著作権法はアイデアを保護しないなどは、頷くことばかりだった。筆者のような素人が、既存の作品(アニメなど)からインスパイアして作れば同人誌に過ぎないが、中にはプロの作家が商業ベースに乗せることだって数多いのだから。つまり、それらは保護期間に関係なく存在しているわけだ。

 また、ネットにおける著作権問題について、実例を挙げているのが石坂渉氏「Web屋さんのココロえ」の画像使って訴えられて、mixi使って嫌われるだ。後半部分は、先述した「mixi読み逃げ問題」について触れており、最後の結論は「なるほど」と思うことだろう。

 著作権という問題にも、多分にモラルが絡んでくる。前述したように、インスパイアして作ったものであっても、原作を冒涜したとして訴えるケースがないわけではない。キチンとしたモラルを持っていれば、そんなに大事に至らないだろう。それが大事になってしまう――この点でもモラルの崩壊は進んでいるのかもしれない。

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