【第1回】プレゼンスって、必要?IP電話の誤解を解く(3/3 ページ)

» 2007年03月27日 08時00分 公開
[寺下義文,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

電話のかけ手側の想いは?

 また、技術的な問題もさることながら、人が電話をかけるときの心境についても考えてみてほしい。

 一般にプレゼンス機能の優位性が語られる際、「相手が会議中や接客中などで忙しいときに電話してしまうと迷惑をかけてしまう」という趣旨での説明になる。確かにそうした話はある。特に部下が上司に何かしらの承認を得ようとする場合、上司の現在の状況(顔色)が気になるのではないだろうか。

 しかし一方で、まったく違う考え方で電話をする者がいることも忘れてはならない。その考え方とは、「忙しければ受話しないはず、だからとりあえず電話する」というものだ。

 このような考えで電話をかける場合、いちいち相手の状態を確認してから電話するという手順を徹底できるものだろうか。相手番号を押す、もしくはアドレス帳から相手を特定して受話器を持ち上げるだけで済んでいたものが、さらに相手の状態を確認するという煩わしい工程を受け入れてくれるのだろうか?

 おそらく、こうしたやり方は受け入れられないだろう。そして、電話する際に相手の状態を確認しないとなれば、今度は受け手側にとってもわざわざ状態を設定(変更)しなければならないことが苦痛でしかなくなる。“取込中”と設定しているにもかかわらず、急用でもない電話が鳴ってしまうからだ。そうなると、プレゼンス機能自体が使えないものへと変容してしまわないだろうか。

 だが、プレゼンス機能自体は非常に便利なものである。正しく実装されれば、業務上有効な機能となるはずだ。次回は、プレゼンスを有効なツールとするための具体的な実現方法を解説する。

寺下義文

日立コミュニケーションテクノロジー IPネットワークセンタ 開発部 SIP:OFFICEグループ技師。1986年、日立インフォメーションテクノロジーに入社。以来9年間データベース関連製品のプログラマーを経験し、1995年からネットワークSEとして多数の大規模ネットワークの構築も経験。さらに2003年から自社VoIP製品である「SIP:OFFICE」の開発に従事。2006年10月より事業統合により同社に転属。難解な技術を平易な言葉で表現することには定評がある。燃料は酒。これがないと走らない。


前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ