ユーザーの声で実現した機能を初搭載、セールスフォースが最新版発表

セールスフォース・ドットコムの最新版「Spring '07」にはユーザーの投票で実装した機能や企業とエンドユーザーのコラボレーションを実現するサービスが提供される。

» 2007年03月27日 20時28分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 セールスフォース・ドットコムは3月27日、オンデマンド型SaaS製品の最新版「salesforce Spring '07」および「APPSpace」を発表した。ユーザー企業と顧客を直接つなぐ新たなポータルサイト型サービスが実現するという。

 Spring '07は、同社ユーザーのうち29万8000社が参加する開発者向けコミュニティサイト「Successforce.com」に寄せられたニーズや、逆に同社が提案したテーマに対する反響を基に、10種類以上の新機能や強化機能が実装された。例えば、検索機能ではインラインでの改ページ表示やソート、フィルタリング機能、レイアウト画面のカスタマイズなどが可能になった。

デモ 最近利用したデータの詳細情報をフロート表示で確認できる

 また、前バージョンのWinter '07から追加された承認機能では、新たにWebへログインしなくてもメールで承認処理ができるようになった。このほか、直近に利用したデータのリストにカーソルを合わせるだけで詳細内容をフロート表示したり、未来の日付でワークフローを設定できるなど、利便性や操作性が大幅に向上している。

 新製品のAPPSpace(アップスペース)は、salesforceのユーザー企業と最終顧客を直接つなぐ新しいポータルサービスとして、オンデマンド型のスペースを提供する。「いわば、企業版『MySpace』に当たる」(内田仁史 製品統括本部長)と説明している。

 APPSpace内では、ドキュメントデータの共有やサードパーティー製の500種類以上のビジネスアプリケーション、「Apex」プログラムで開発した自前のアプリケーションなどを利用できる。

 例えば、パートナーとのプロジェクトの進行管理や劇場の座席予約サービスといった、幅広い利用シーンが想定されている。内田本部長は、「企業と顧客がセキュアにコラボレーションできる新しい空間となり、高度な顧客サービスを提供できるようになる」と話す。

 当初は限定発売を行い、4月から北米市場において1組織当たり月額995ドルで提供する。2007年8〜10月をめどに全ユーザーへの提供を予定するという。なお、利用には1ユーザー以上のSalesforceアカウントが必要になる。

「SMB 2.0」で中小企業のIT化を推進

 宇陀栄次代表取締役社長は、2007年の事業展開について「SMB(中小企業)に焦点を当て、IT化を支援する」と述べた。宇陀社長は、同社が長年手がけるSaaS(Service as a software)について、パートナーや顧客とのコラボレーションで成り立っていると説明した。

宇陀社長 宇陀社長

 その上で、「国内のSaaS投資は米国を上回る勢いを見せている。ここ2〜3年は大企業の開拓に注力してきたが、中小が抱える課題は大手と変わらない。アイディアマンの多い中小企業のニーズに応えるにはSaaSが最適。製品環境が整い、今後は『SMB 2.0』で、IT化による国内企業の競争力強化を支援したい」と話した。

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