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» 2007年04月12日 07時00分 公開

企業IT動向調査2007:「入社以来ずっとIT部門です」――他部門との人事交流は今後の課題? (1/2)

去る4月4日に日本情報システム・ユーザー協会が発表した「第13回 企業IT動向調査2007」では、国内企業のIT部門が抱える問題をさまざまな角度から浮き彫りにしている。投資意欲は前年よりアップしているが、いまだ手付かずの課題も多いようだ。

[大西高弘,アイティセレクト編集部]

 この調査は日本情報システム・ユーザー協会(以下JUAS)が各企業に送ったアンケートに対する回答とインタビューによって分析され、結果が公表されている。有効回答を返送してきたのはIT部門が802社、経営企画部門は805社だった。

 回答企業の内訳は、上場企業が全体の77.8%。従業員数1000人以上の企業が全体の48%だった。また、回答企業の所属する業種だが、「商社・流通・卸売・小売」が全体の18%、「建設・土木・鉱業」の10%などが目立つ程度で、ほぼ平均的に各業種の企業から回答を得ている。

 調査項目は多岐にわたるが、IT投資に対する意欲は前年を上回る結果が出ている。しかし部門での人手不足により、情報システムの信頼性を担保できる体制を敷くことがなかなかできないという悩みも浮き彫りになった。参照記事

新技術にまで手が回らない?

 また、調査結果の中でJUAS内部でも「意外だった」と語られたのは、新テクノロジー・サービスに対する取り組みだった。投資意欲が旺盛な割に新しい技術を取り入れる取り組みが遅れているのだ。今回の調査では、「新テクノロジー・サービス」として(1)ビジネスプロセスアウトソーシング(2)ビジネスインテリジェンス(3)エンタープライズ(4)サービス志向アーキテクチャー(5)オープンソースソフト活用(6)オフショア開発(7)グリッドコンピューティング(8)ITIL(9)Web2.0をあらかじめ挙げて、すでに導入済み、検討中、関心はあるが未検討、あまり関心はない、よく分からないという5項目で回答させている。

新技術に対する取り組みについて

 すでに導入済み、検討中、関心はあるが未検討の3つの項目のうちどれかにチェックした企業はその技術に対して、比較的理解があり、前向きにとらえていると解釈することができるが、例えばビジネスインテリジェンス(BI)に対しては、これら3つに回答した割合をすべて入れても、全体の半数を若干超えるだけで、導入済み、検討中だけで計算するとおよそ2割にしかならない。

 また、エンタープライズアーキテクチャー、サービス志向アーキテクチャーに至っては、導入済み、または検討中と答えたグループが全体の2割を切っている。

 もちろん、新しいという理由だけですべて導入すればいいというものではないし、各企業の業務の性格などの問題もあって必ずしも高い効果が期待できるとは限らない。しかし調査をしていたJUASでは「おおよそ新しい技術を積極的に取り入れるのは全体の20%ほどの企業だということは相場としてある。ただ、ここまでの数字になるとは意外だった」としている。新しい技術に対して、「あまり関心はない」と答える企業が各項目で非常に多かったのも今回の特徴だったといえるかもしれない。

新市場開拓はIT部門とは無関係か

 こうした結果と比較する興味深いデータが今回の調査では出されている。

 例えば、重点IT投資分野に関する項目で、上位2つまでを選択させた結果として、「生産・在庫管理システム」「販売管理システム」「セキュリティ強化」がトップ3になった。

重点IT投資分野について

 また、IT部門がIT投資によって解決したい中期的な経営課題を聞いている質問では、トップが「業務プロセスの改革」、次いで「経営トップによる迅速な業績把握、情報把握」、「経営の透明性の確保」と続いている。

 IT投資で解決したい経営課題として「新商品・新市場の開拓」と挙げているのは、全体でも6%だ。例えばビジネスインテリジェンスはこうした経営課題の解決をサポートするものといえるが、IT部門が自部門のメインテーマとして意識しているケースは少ないようだ。

 同調査では、経営企画部門などユーザー部門に対しても調査をしているが、IT投資およびIT部門に対する評価として、「企業のトータルコストの削減」「主要業務プロセスの再構築」については高く評価しているという結果が出ている。一方で「新たな市場やビジネスチャンスの拡大」という面では半数以上の経営企画部門担当者が、「それほど貢献していない」、「貢献していない」と回答している。

 ユーザー部門が「新たな市場やビジネスチャンスの拡大」についてIT部門がもっと貢献できるはずだ、どんどん提案してもらいたいと考えているかどうかは不明だが、このテーマに関する意識がIT部門の意識と重なっているという見方もできるかもしれない。

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