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» 2007年04月16日 15時34分 公開

Microsoft ECM & BI Conference 2007:情報管理は「守りから攻め」へ

今や、情報マネジメントの巧拙が企業価値を決定する。The Boston Consulting Groupの井上潤吾氏は、情報管理を「攻めと守り」に分けて、それぞれをきちんと確立していくことが国内企業の成長につながると提唱する。

[井上健語(ジャムハウス),ITmedia]

 2008年4月の日本版SOX法施行をひかえ、企業では内部統制の構築が最優先課題となっている。こうした動きの中、マイクロソフト主催のカンファレンス「Microsoft ECM & BI Conference 2007」が4/12、13の2日にわたって開催された。参加者にとっては、自社の情報管理のあり方を改めて問い直す、よい機会になったようだ。

「攻め」と「守り」の情報マネジメント

 初日は「ECM DAY」と銘打ち、情報経済社会における企業価値を向上させる情報マネジメントに関する講演、セッションが開催された。その先陣を切ったのが、The Boston Consulting Group ヴァイス・プレジデント・ディレクター 井上潤吾氏による基調講演「攻めと守りの情報マネジメント」である。

The Boston Consulting Group ヴァイス・プレジデント・ディレクター 井上潤吾氏

 冒頭で井上氏は、企業のあらゆる活動が人・モノ・カネの3要素の滞留と流通に分解できること、情報がその3要素の価値を上げる重要なレバーであり、情報マネジメントの巧拙が企業価値を決定することを述べた。そして、情報マネジメントを「攻め」と「守り」に分け、それぞれの特徴と事例が詳細な分析とともに説明されていった。

 まず、攻めと守りの情報管理では、次のような違いがある。

攻めの情報マネジメント 守りの情報マネジメント
目的 売上/利益および中長期の成長 リスクを管理して企業の存続を図ること
顧客の購買履歴を用いたアップセル/クロスセル コンプライアンスやセキュリティ
特徴 一点突破 時限的 全方位 永続的
攻めと守りの情報マネジメントの違い

 また、攻めの情報マネジメントでは、管理する情報の「深さ(リッチネス)」と「範囲(リーチ)」がトレードオフの関係にあり、守りの場合は「短期利益」と「長期利益」がトレードオフの関係にあることが指摘された。

 例えば、B2C企業が攻めの情報マネジメントとして効率的な顧客とのコミュニケーションを追求すれば、情報の深さには妥協せざるを得なくなる。あるいは、守りの情報マネジメントとしてコンプライアンスやセキュリティ対策を重視すれば、業務効率をある程度犠牲にせざるを得ず、社員の士気が低下するリスクもある、という具合だ。

 したがって、攻めの情報マネジメントでは、事業戦略から考えた情報管理のあるべき姿を追求することが重要となり、情報マネジメントを実行する強い組織力・人材力が必要とされる。一方の守りの情報マネジメントでは、経営陣の姿勢を社員一人一人に伝え、結果を目に見える形でモニタすることが重要になる。

蛸壺化を打破して守りから攻めへ

 井上氏は、現在、多くの日本企業や官公庁において蛸壺(たこつぼ)化が進んでいると指摘する。インターネットが普及し、経済のグローバリズム化が拡大する中、企業内の各部門で専門化が進行し、部門間のコミュニケーションが疎遠になる蛸壷化が、かえって目立ってきたのではないかという。

 もちろん、蛸壷化は海外でも指摘されている弊害だが、海外企業の場合、トップダウンで打破されるケースが多い。これに対し、日本企業はミドルアップ/ボトムアップの組織が多いため、構造的に蛸壷化しやすいと指摘する。では、どうやって打破すればよいのか。

 井上氏は、内部統制がその良い機会になるだろうと指摘する。内部統制は、各事業の戦略、業務プロセス、オペレーション、人材育成などを見直す絶好の機会である。それには、内部統制を企業が存続するためのリスク回避としてだけ位置づけるのではなく、将来の強い組織を作るための手段に変える必要がある。

 そこで重要になるのが、守りの情報マネジメントである。一見すると、負担増にしか見えない守りの情報マネジメントも、情報の“見える化”を進める手段として活用することができれば、組織を変えるきっかけになるだろう。そして、内部統制をきっかけに、守りから攻めへと転換できた企業だけが、これからの環境変化に順応し、成長していける企業になるだろうと結論する。

情報管理の重圧から開放するマイクロソフトのECM

 基調講演に続き、マイクロソフト インフォメーションワーカービジネス本部 本部長 横井伸好氏によるゼネラルセッション「情報管理の重圧から開放するマイクロソフトの ECM」が行われた。基調講演での情報マネジメントの重要性を受け、それを具体化するマイクロソフトからのソリューションを説明する、という流れだ。

マイクロソフト インフォメーションワーカービジネス本部 本部長 横井伸好氏

 まず、横井氏はビジネスプロセスには、構造化されたプロセスと構造化されていないプロセスがあるという。そして、構造化されていないビジネスプロセスを支えるITがエンタープライズコンテンツ管理(ECM:Enterprise Contents Management)であり、ECMを成功に導くには、次の3つの条件が必要であると指摘する。

  • 多くの社員の指示を得る
  • 社員が自発的に活用できる
  • 長期的な企業ニーズに応えられる

 そして、この3条件を満たすソリューションこそが、Office SharePoint Server 2007とthe 2007 Microsoft Office Systemの組み合わせであると強調する。

 デモでは、Office SharePoint Server 2007を利用した内部監査報告書の作成が行われた。ドキュメントの排他制御を行うチェックイン/チェックアウト、ファイルを更新するごとに古いバージョンが保存されるバージョン管理機能、IRM(Information Rights Management)とアクセス権制御による機密性確保の機能などが、WordやExcelなどのOfficeアプリケーションを使って実演された。

 日頃使い慣れたOfficeアプリケーションを使いながら、コンプライアンスの強化と生産性向上をごく自然に両立できるシステムに、来場者の多くは大いに関心を抱いたようだ。

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