ミッションクリティカル領域のブレードサーバは、何が違うのか(3/4 ページ)

» 2007年04月23日 07時23分 公開
[岡田靖,ITmedia]

情報システム部長の悩みを解決

 山中氏は、c-Classブレードが情報システム部門の中の様々な立場の人が抱える悩みを解決する、という内容で説明を進めた。

 「情シス部長であれば、『スキルの高いスタッフを雑用から開放させたい』という悩みがあると思います。優秀なスタッフがオフィスとマシンルームを行き来するようなことなく、付加価値の高い業務に専念できるようにしたいでしょう」(山中氏)

 その解決策として山中氏が挙げた機能は、HP独自の遠隔操作機能「Integrated Lights-Out」(iLO)だ。OSのインストール中やBIOS画面、ブルースクリーン状態でも画面を確認し、操作できる。「電源ボタンの長押し」操作や、CD-ROMなどの遠隔マウントも可能。「そして、特に強調しておきたい点としては、遠隔地から複数のスタッフが、同一のエンクロージャ内にある複数のブレードに同時アクセスできる点です。コンソールの取り合いがなくなります」(山中氏)

 一方、ハードウェアの管理も、マシンルーム常駐のオペレーターが簡単に操作できるようにと工夫されている。c-Classのエンクロージャには小さな液晶インジケータ「Systems Insight Display」が搭載されており、障害発生の通知から障害の詳細確認、さらに対処方法のガイドまで表示できる。コンポーネントの交換も容易だにできるようになっており、「まさにコピー機のような感覚で」(山中氏)障害対応が可能という。オペレーターが悩むことなく操作できれば、当然ながらスキルの高いスタッフの出番も少なくなるというわけだ。

サーバ担当者やファシリティ担当者にとっては

 次に、「サーバ増設・交換のたびにストレージチームとの話し合い……」というサーバ担当者の悩みが紹介された。

 システム変更時には、ネットワークアダプタやストレージ用ホストバスアダプタ(HBA)の物理アドレス設定が不可欠だ。サーバの物理アドレスは対応するストレージやネットワーク機器にも反映させねばならないが、大規模な企業ではサーバとストレージを別々のチームで管理していることが多く、その組織の壁のおかげで、依頼してから実際に設定されるまでにタイムラグが生じがちだ。

 この問題を解決するのは、「HP バーチャルコネクト」(HP VC)という仮想化技術。「エンクロージャのスロット単位で仮想的な物理アドレスを設定するという、コロンブスの卵的発想」(山中氏)で、例えばサーバを入れ替えれば自動的に物理アドレスが引き継がれ、また、サーバ導入前の空きスロットにあらかじめ物理アドレスを設定しておくこともできる。

 そして、ファシリティ担当者の悩みは「CPUの高性能化でサーバの消費電力と発熱量が高い」というものだ。

 「サーバを2年間使った電気代は、サーバ購入代金とほぼ同じと言われており、『サーバの購入代金より電気代の方が大変』という声も聞かれます」と山中氏は言う。当然、発熱量も大きなものとなってきており、ファシリティの強化は強く求められている。

 c-Classのエンクロージャには、HP独自開発のアクティブ冷却ファンが採用されている。冷却能力や寿命、消費電力、騒音などのさまざまな面で高い性能を持つというこのファンを、c-Classのエンクロージャは10個まで搭載できる。ファンは比較的小さめの口径となっており、エンクロージャ内の特定ゾーンを冷却できるよう配置されている。それぞれのファンを個別にコントロールすることで、ムラなく、無駄のない冷却が可能だ。

 同様に、電源ユニットも細かく制御されている。ブレードサーバはエンクロージャ内のブレード搭載状況や稼働状況によって電力消費が大きく変動することも多い。そこで、必要となる電力容量に応じて電源ユニットを稼働させたり待機させたりすることで、効率的な電力利用を可能にしたという。

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