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» 2007年04月24日 14時16分 公開

企業にモバイル化を勧めるベンダーの心

成長途上の企業向けモバイル市場。メインフレームやPCほど長い歴史がないだけに、参入するベンダーにとってもノウハウ作りは大変なようだ。その心とはいかに?

[國谷武史,ITmedia]

 企業向けモバイル市場の成長に期待するベンダーが勢いづいている。その背景には、ノートPCに加えてPDAや携帯電話が性能が業務処理に耐える水準に達しつつあるほか、社外業務の効率化や在宅勤務の導入による人材対策、リアルタイムの情報武装化――といったさまざま理由が挙げられている。

 すでにPCは「1人1台」という会社が多いが、モバイルはこれから。「1人1台のモバイル」で企業の経営改善や業績拡大の支援を目指すベンダーの構想や苦労とはどのようなものか。このほど開かれた「Enterprise Mobility Advantage Seminar」から、日本アイ・ビー・エムを例に見てみよう。

日本IBMが小売業向けに提案するモバイルソリューションが「ガイデッドセリング」

 同セミナーでは、日本IBM流通事業本部の黒田真一氏がPDA端末を活用した次世代型店舗システムの構想と同社の取り組みを紹介した。黒田氏は小売業界向けのソリューション営業を長年担当しており、モバイルサービスの開発は新しいチャレンジだという。

 国内の消費市場が成熟する中、日本IBMは今後の小売業界がコモディティ(日用品)とハイバリュー(高級専門品)へ二極化すると予想。同社はハイバリュー市場で業績拡大を目指す企業に対して、PDAを利用した「ガイデッドセリング」ソリューションを展開する。

 ガイデッドセリングとは、情報端末を活用して販売支援を行う仕組みだ。ハイバリューに関心を持つ消費者が、購買の際に重視するのが「接客」と「店舗」の良し悪しだという。ガイデッドセリングを利用すれば、顧客が求める高度な商品情報を従業員が手元のPDA端末でリアルタイムに入手して、顧客へすぐに提供できる。これによって顧客満足度が高まり、業績向上につながるという。

 ガイデッドセリングは従業員の教育にも効果があると、黒田氏は説明する。「合同の商品勉強会を開いても全従業員が真剣に聞いているとは限らない。現場で顧客から訪ねられた情報を調べる行為が、従業員の情報力を自然に高めることになる」(黒田氏)とのことだ。

パートナーを心から求める

 ガイデッドセリングを実現するPDAシステムには、基幹システムや情報系システム、メールサーバ、VoIPなどのコミュニケーションシステムと、リアルタイムに情報を同期することが求められる。

小売業向けPDAシステムの構成イメージ

 「DB2」や「Notes/Donimo」など社内システムでは定評あるIBMだが、「社内情報をPDA端末向けに最適化するノウハウなどは、まだまだ成長途上」と黒田氏。このほかに黒田氏が営業経験からまとめたPDAシステムで解決すべき項目は、「性能」や「セキュリティ」「メンテナンス」「堅牢性」など、大きな項目だけでも10種類近くに及ぶ。

 黒田氏は、「仮に1000台の端末を運用していれば必ず1台は紛失する。その紛失さえも防ぐ、ユーザーに100%満足されるようなサービスを実現するのは簡単ではなく、IBMにはないノウハウを持つパートナーを積極的に大募集している」という。

日本IBMが開発しているPDAアプリケーションのインタフェース例。このシステムが稼働するにはパートナーの協力が必要不可欠と、モバイルの協力企業を大募集中

 基幹システム市場やPC市場では大手の存在でも、企業向けモバイル市場では挑戦者だというベンダーも多い。「PCの次に企業で広がるのはモバイル」と市場開拓に取り組むベンダー各社の連携や事業展開にも注目が集まりそうだ。

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