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» 2007年04月26日 13時00分 公開

ITエンジニア進化論:トラブルをチャンスに変えるリカバリー法【その3】

起きたトラブルを千載一遇のチャンスにするためにはどうすべきだろうか。今回は、顧客とこじれたときの対応方法の変更、対応方法のアピールについて紹介する。

[克元 亮,ITmedia]

話がこじれたらやり方を変える

 トラブルの事後策について合意が得られず平行線をたどるとき、やり方を変えるしかない。むろん、何らかの交渉条件を変えるのがベースにあるものの、基本的な対応方法の変更視点には、人・場所・道具の3つがある。

 顧客は担当からの説明よりも、もっと責任ある立場の人からの謝罪や報告を望む。その方が会社としての誠意が感じられるからだ。したがって、担当からの説明で納得してもらえなければ、上司が説明に行くようにする。

 また、場所が会議室では、しかめっ面をするばかりでお互いに歩み寄りにくい。会議室にこもって話をするよりも、一緒に食事をしたりお茶を飲んだりしながら話を進める方がうまくいくことが多い。これは、”ランチョン・テクニック”と呼ばれ、非公式な場で飲み食いをともにすることで、人の受容力が高まることが知られている。

 さらに、コミュニケーションの道具にも気をつけたい。インターネット全盛の世の中、小さなトラブルやクレームにはメールで回答したい、という心理も分かる。しかし、メールは文字だけのコミュニケーションであり、相手は冷たい印象を持ちやすい。

 電話は声の調子で感情を伝えることができ、フェイスツーフェイスでは、顔の表情やしぐさなどから感情を読み取る”ノンバーバル・コミュニケーション”が可能となる。問題が発生したときには、できるだけフェイスツーフェイスを心がけ、メールや電話は補完的に使うべきだ。

トラブルの対応方法をあえてアピールする

 トラブルは、直接的に起因するものと、仕事のプロセスに基づくものに分けられる。幾ら直接的な原因のみを取り除いても、仕事のプロセスを改善しなければ、将来にわたってリスクを抑制することはできない。

 例えば、データベースシステムで履歴データを保存することによって、割り当てディスクをすべて使い切ってしまいDBMSがストップするというトラブルは、システムのサービスインから数年間の運用を続けていればよく発生する。その場合、まず、古いデータを削除する、ディスクの割り当て量を見直すといった対処法が取られる。しかし、それだけでは将来に向けた根本的な解決にはならない。

 割り当て量に対する使用量を定期的に監視する、これをシステムの運用ルールとして定着させるところまで対策を打たなければ恒常的な対策とはならない。さらに一段上げれば、運用が定着しているかどうかを第三者が監査する仕組みも必要となる。つまり、発生した原因を除去するだけではなく、組織における仕事のプロセスまで踏み込んで将来に向けてリスクを排除していくことが大切なのだ。

 トラブルへの対応方法を整理したならば、社内で地道に解決するのも1つの手だろう。だが、仕事のプロセスにまで踏み込んだのであれば、あえて顧客に公開した方が良い。なぜなら、そのレベルアップしたプロセス自体が、顧客には魅力に写るかもしれないからだ。日本的な謙虚さで「こっそりと改善しました」ではなく、「こうやってサービスレベルを上げました」とアピールする。これが顧客の次の信頼を勝ち取るチャンスにつながるのだ。

 以上、3回に分けて、トラブルをチャンスに変えるリカバリー法を紹介してきた。トラブル自体はむろん歓迎できない。だが、これを見事なリカバリーで顧客にアピールする機会ととらえれば、知恵も出てくるのではないだろうか。プラスの面も考え、目の前の問題に没入することなく、冷静に対応することを期待したい。

著者プロフィール:克元亮

All About『ITプロフェッショナルのスキル』ガイド。SEのキャリア形成やスキルアップをテーマに、書籍やウェブ記事を企画・執筆。近著に『SEの文章術』(技術評論社)、『ITアーキテクト×コンサルタント 未来を築くキャリアパスの歩き方』(ソフトバンククリエイティブ)がある。日々の執筆や読書を、ブログ『克元亮の執筆日記』でつづっている。


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