災害対策は難易度「高」のプロジェクトITトレンド・フォーラム2007レポート(2/2 ページ)

» 2007年05月07日 12時29分 公開
[堀哲也,ITmedia]
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身近になる災害対策システム

 とはいえ、技術的には災害システムは構築しやすくなっている。このような背景もあり、金融業が中心だったDRも現在では流通、製造業へとすそ野が広がり始めている。

 事例として鬼山氏が紹介したカルビーは2006年11月、東京から約1600キロメートル離れた沖縄にバックアップサイトをカットオーバーしたが、新規構築に比べ3分の1のコストでDRシステムを実現することに成功している。

 大きなポイントは、最新のストレージの仮想化機能を利用することで、既存のストレージを生かしながら遠隔地へのデータコピー環境を構築している点だ。同社はDRシステムの構築を機会にハイエンドストレージの「HP StorageWorks XP 10000」を導入。これまで使用していた「HP StorageWorks EVA4000」を仮想化機能で配下にすることで、ストレージを無駄にせず、データ移行もなく遠隔コピーを可能にした。XP 10000はコントローラーと取られて導入したわけだ。

 WAN回線の面では、沖縄県情報産業ハイウェイの無償提供を受けており、これも大きなコストダウンにながっている。

 バックアップサイトについても、ツインセンターとしてアクティブ-アクティブの状態で活用することで、施設自体を無駄にせず、システムの運用プロセスを熟知している運用スタッフが常駐できるようにするなど、工夫しているのも特徴で、技術だけでなく人や運用プロセスについても上手な対策を施しているといえる。

 「忘れないでほしいのは、ピープル、プロセス、ポリシー、テクノロジーの4つがそろわなければ災害対策にならない点だ」(鬼山氏)。

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