NII、オンデマンドで帯域の利用が可能な「SINET3」を本格運用

国立情報学研究所は、学術研究の連携基盤となる「SINET」を強化し、40Gbpsクラスの超高速ネットワークの本格運用を開始した。

» 2007年06月01日 20時56分 公開
[藤村能光,ITmedia]

 国立情報学研究所(NII)は6月1日より、次世代学術情報ネットワーク「SINET3(サイネット・スリー)」の運用を開始した。国の学術研究や教育活動、さらにはグローバルに点在する海外拠点にも対応した情報のライフラインとして、700を超える接続機関に提供される。

 SINET3は、NIIが大学などと連携して構築を進めている最先端学術情報基盤(サイバーサイエンスインフラストラクチャー)の基盤となるネットワーク。光パスをスイッチングするレイヤ1スイッチとIPルータを組み合わせて、光パスやIPパケットサービスを同時に提供する光IPハイブリッド技術によってコストパフォーマンスを高めるほか、基幹回線として最大40Gbpsの高速回線を採用するなど、世界でも類を見ないネットワークサービスとなっている。NIIがこれまでに提供してきた学術ネットワークのバックボーンである「SINET」と、先端研究のための10Gbpsのネットワーク「スーパーSINET」がシームレスに統合された形となっている。

 SINET3の最大の特徴は、超高速の専用ネットワーク環境が整備されていることだ。ネットワークを大規模に展開する場合、接続拠点の拡大に伴う設備投資整備には多大な時間がかかる。しかし、全国75の拠点間で、ユーザー側から開始・終了時間、帯域(150Mbps)、などを指定してオンデマンド専用線を設定できる「帯域オンデマンド」によって、従来設定に数カ月かかっていた専用線系のサービスが瞬時に利用可能となる。

画像 超高速の専用ネットワーク環境を可能にする「帯域オンデマンド」サービス

 また、IP、イーサネット、専用線などの複数レイヤのサービスを1つのネットワーク上で実現するマルチレイヤサービス、仮想プライベート網(VPN)により複数拠点間でのセキュアな通信環境を提供するマルチVPNサービス、通信内容に応じた優先度で情報の伝送を行うマルチQoS(Quality of Service)サービスなど、ユーザーにとって利便性の高いサービスが含まれる。

画像 SINET3 サービスの概要

 保守体制は、NTTコミュニケーションズが東京を中心に集中管理を行い、トラブルには2時間以内に対応する。

 

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