「アプリケーションが遅い」をなくす仕組み(1)最適化から始まる、WAN高速化への道(3/3 ページ)

» 2007年06月07日 08時00分 公開
[岩本直幸、中島幹太,ITmedia]
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 最後に3.のアプリケーション対応であるが、ファイル共有(CIFS/NFS)やExchange(MAPI)などのやり取りが多いプロトコルそれぞれに対して、各社は機能追加を行っている。対応するプロトコルが多ければ、高速化できるアプリケーションも多いということになる。

 ここでも、リバーベッドとジュニパーの多機能製品と、シスコ、パケッティア、F5による特化型製品の2つに大きく分けられる。特化型製品は、主にWindowsファイル共有(CIFS)の高速化に特化しているのが特徴だ。

 また、多機能製品に共通しているのは、対応プロトコルの多さ。ファイル共有プロトコルとして、CIFSはもちろんNFS v3に対応する製品や、Exchangeのメッセージングプロトコル、MAPIに対応したものまで存在する。それ以外にも、HTTPやHTTPSの高速化を実現する機能などが追加され、WAN上に流れる主要なアプリケーションを高速化できるようになりつつある。だが一方で、やはり高速化できないアプリケーションも数多くあるのが現状だ。


 今回は主要ベンダーの製品をWAN高速化の技術面から分類したが、次回はさらに細かい仕組みを紹介しながら比較したい。

TCPにもいろいろな種類がある

 一口にTCPといっても、実にさまざまな種類のものが存在していることをご存じだろうか。ここで詳細は述べないが、例えば、広帯域(100Mbps〜1Gbps)のネットワークの埋めきれない帯域をすべて使いきるためのTCPとして「HS-TCP(High Speed TCP)」というアルゴリズムがある。

 また、WAN高速化ベンダーの中にはリバーベッドのように複数のTCPを選択できる製品もある。同社独自のTCPアルゴリズム「MX-TCP(Maximum Speed TCP)」は、パケットロスが非常に大きくSACKも有効ではないような環境下でも高速化を図れるというメリットがある。QoSによる帯域制御機能と組み合わせて再送が発生したパケットから優先して送るようだが、パケットロスが非常に大きい中国との接続にはかなり有効な機能と言える。

 ただし、このMX-TCPはUDPに非常に似ており、注意すべき点もある。例えば、1.5Mbpsの主回線と500kbpsのバックアップ回線による冗長化回線において、1.5Mbpsの回線に合わせて帯域を設定してしまうと、バックアップ回線への切り替わり時に通信ができなくなるという問題があり、ネットワーク設計は慎重に行わなければならない。


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