ハンディターミナルの成長は高機能化とRFIDがカギ、JEITA調査

JEITAは2010年までのハンディターミナルの市場予測を発表し、端末の高機能化で市場が安定成長を続けるとみている。

» 2007年06月11日 06時30分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 電子情報技術産業協会(JEITA)はこのほど、東京都内で「情報端末フェスティバル2007」を開催した。同イベントでは、ハンディターミナルの2006年度出荷実績と2010年度までの市場予測が発表された。

 JEITAが定義するハンディターミナルの条件は、1)業務データの入力を行う、2)アプリケーションプログラムが別ツールで開発され、ロードができる、3)バッテリ駆動する、4)手に持って操作する――の4つ。携帯電話やPDAを業務利用するケースは対象としていない。

JEITAが調査対象とするハンディターミナルの種類

 またJEITAでは、ハンディターミナルを3つのカテゴリーに分類し、流通業界での利用が多いバーコードスキャナ搭載の「スキャナ一体型」、検針業務利用の多いプリンター搭載の「標準型」(プリンター非搭載機も含む)、小売業を中心に利用されるタッチパネル搭載の「ノートパッド型」で、市場動向を調査している。

 2006年度出荷実績は、総出荷台数が前年度比14%増の38万3000台、出荷金額は同10%増の324億3000万台となった。出荷台数の内訳は、国内が同10%増の25万3000台、輸出が23%増の13万台。出荷金額の内訳は、国内が6%増の248億1700万円、輸出が27%増の76億1300万円となった。

2006年度までの出荷実績と2010年度までの予測

 カテゴリー別では、スキャナ一体型は出荷台数が国内でほぼ横ばいとなったものの、輸出は22%増加し、合計では8%増の26万5000台となった。標準型は、国内出荷台数が2004年度に運輸業界での大型受注による反動で2005年度に続き減少した。一方、輸出台数は33%増の2万2000台となった。ノートパッド型は大口受注の影響で、出荷台数が295%増の4万6000台、出荷金額も342%増の5700万円となった。

 2010年までの市場予測は、まずスキャナ一体型では2次元コード対応や無線LANを内蔵する高機能モデルの出荷比率が高まり、企業各社で導入検証が進むRFIDの利用が2008年度以降に本格普及するとみられる。JEITAでは、2010年度に出荷台数が約30万台(国内18万9000台、輸出11万台)と予測する。

 標準型とノートパッド型は、JEITAでは、出荷台数・出荷金額とも毎年微増していくと予測する。特に標準型では、情報漏えい対策からセキュリティを強化した端末の普及が進むとみている。

2005年度と2006年度の出荷先の業界別割合

 2006年度の業種別の出荷割合は、流通が全体の53%を占め、その他(13%)、倉庫・物流(9%)、製造(9%)、電気・ガス・水道(8%)、運輸(6%)となった。JEITAによると、今後も流通向けの出荷が拡大すると予測するほか、医療や交通(駐車違反取締用途など)で新たにハンディターミナルの利用拡大が見込まれるという。一方で、金融業界などでは専用端末からPDAやスマートフォンへ移行すると予測する。

 発表を行ったハンディターミナル専門委員会は、「業務用途としてのPDAやスマートフォンを導入する動きが小売業などに一部あるが、ハンディターミナルとの区別があいまいになりつつあるため、今後の動向を注視したい」としている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ