レビュー:Fedora 7(2/2 ページ)

» 2007年06月11日 02時29分 公開
[Joe-'Zonker'-Brockmeier,Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine
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高速ユーザー切り替え機能

 コンピュータを複数人で共有しているなら、Fedora 7に含まれている高速ユーザー切り替え機能が便利だ。高速ユーザー切り替え機能を使うと、ログアウトする必要なく別のユーザーに切り替えることができる。

 リリースノートによると、高速ユーザー切り替え機能ではデバイスの所有に関して幾らか問題があるとのことだが、わたしが使っている範囲では特に問題は起こらなかった。

 わたしは2人目のユーザーを作成して、Fedoraシステムをこのレビュー記事のために試していた日は一日中、2つのユーザーを交互に切り替えていた。ユーザーの切り替えを行う際にわずかな遅延が発生するものの、ログイン/ログアウトし直す手間に比べたら時間はまったくかからない。複数ユーザーを利用することができると、通常のアカウントとテスト用のユーザーアカウントとを交互に切り替えて利用することができるため、わたしの場合はテストを行う際に役立った。もちろんコンピュータを共有している家族などにとっても便利なことは間違いないだろう。家族の別の人がメールを読みたいというとき、それまでの作業を中断してすべてを片付けなければならないのではなく、この高速ユーザー切り替え機能を使用するだけで良いというのは、どちらのユーザーにとってもうれしいことだ。複数人に対し一台のマシンしかないという問題が完全に解決するわけではないが、かなり解決に近いところまでは行くだろう。

新たなSELinuxツール

 Fedora 7には、2つのSELinux用のツールが含まれている。今回はじめて含まれた新しいGUI管理ツール「system-config-selinux」と、前回までのFedoraリリースではデフォルトでは有効になっていなかったトラブルシュート用ツール「selinuxtroubleshoot」だ。以前はセキュリティレベルツールの一部だった、管理ツールのBoolean(ブーリアン)タブでは、Samba、rsync、PPPD、Apacheなどのシステムサービス/機能についてのSELinuxの設定を行うことができる。Booleanタブは、何を行うためのセクションなのかが分かりにくい名前だが、その点を除くとかなりユーザーフレンドリだ。例えばSambaでNFSディレクトリを共有したい場合には、Boolean→Sambaへ行き、「Allow Samba to share NFS directories(SambaでNFSディレクトリを共有する)」をクリックすれば良いだけであり、かなり簡単だ。

 しかし、テキストファイルを編集するよりも管理ツールを使った方が簡単であるとはいえ、SELinuxが真に簡単に使えるものになるにはまだ改善の余地がある。管理ツールの多くのセクションでは、SELinuxについてのかなりの知識が要求されるため、少なくとも多様なフィールドの意味を説明する何らかの文書がある方が望ましいだろう。現状では、管理ツールにはHelp(ヘルプ)メニューの中にAbout(system-config- selinuxについて)ダイアログがあるだけだ。どれほど単純なアプリケーションであったとしても、Help(ヘルプ)メニュー経由で何らかの文書が利用可能になっていなければ、完成しているとも出荷準備万端とも言えないと思う。

FireWireの問題

 Fedora 7の大きな変更点の1つに、カーネルのFireWireスタックが書き直されたということがある。わたしは既存のFireWireスタックをもう1年以上もの間、外付けディスクの利用やデジタルカメラからThinkPadとデスクトップマシンへデータを転送するために使用しているのだが、何が問題視されていたのかよく分からないのだが、新しいスタックの方が「優れていることになっている」ようだ。

 「優れている『ことになっている』」という表現を使ったのは、実際には新しいスタックには、広く使用されるようになる前に直しておく必要がある欠陥が存在するように思われるためだ。Fedoraをインストールしてから3時間も経たないうちに、ビープ音が2度鳴った後、システムは完全にロックアップしてしまった。最初は何が原因だったのか分からなかった。というのもその時はPirut、Firefox、幾つかの端末ウインドウ、OpenOffice.org Writer、2、3個のNautilusウインドウなど多くのウインドウを開いていたためだ。

 問題に再現性があるかどうかを調べるためにリブートしたところ、その2時間後に再びコンソールでビープ音がしてマシンがロックアップしてしまった。そこでシステムログを確認してみると、PCIバス上のハードウェアの問題についてのエラーに気づいた。わたしは問題がデスクトップ効果に関係があるのではないかと思ったので、デスクトップ効果を無効にして、また別の作業に取り掛かっていたのだが、結果的にはデスクトップ効果が問題ではなかった。

 デスクトップ効果を無効にした後、外付けのFireWireディスクにアクセスできないことと、再接続しようとするとエラーメッセージが出ることに気づいた。そこで今度は、ディスクの寿命が切れかかっていることが原因かもしれないと考えたが、外付けディスクをUbuntuデスクトップに接続してみると問題なくアクセスすることができたため、そうではなかったことが分かった。外付けディスクを取り外すと、Firefoxが2度クラッシュした以外には、Fedoraは問題なく動いた。

 ディスクが実際に故障しつつあるという可能性を考え、念のためディスクからデータをすべて避難させた後、失敗を起こさせたり何らかのエラーメッセージを出させたりできないかと、わたしは数Gバイト相当のファイルを外付けHDDからコピーしたり外付けHDDにコピーしたりして、その様子を観察した。そして2日経ったが、外付けHDDに問題が起こることはなかった。したがって今回の問題の原因は外付けディスクにあるのではなく、Fedora 7の新しいFireWireスタックにあると結論せざるを得ない。

 FireWireのバグを除くと、Fedora 7には優れた部分が非常に多くあると思う。例えば、1-CD版も非常に気に入っている。インストールが少し簡単になり、おまけにダウンロードするISOイメージが1つで済むからだ。もちろん一枚のCDでは望みのものすべてが入っているわけではないが、幾つかのアプリケーションを追加でダウンロードしたとしても、4、5枚分のISOイメージをダウンロードするよりは短い時間で済む。なおFedoraはすべてのソフトウェアをインストールしたいユーザーのためのISOイメージも提供しているため、誰もが満足できると思う。

 Fedora 7がリリースされたばかりだが、FedoraファンはFedora 8の登場までそう長く待たされることはないだろう。プロジェクトのスケジュールによると、FedoraチームはFedora 8を通常の6カ月サイクルよりも短い期間で、ハロウィーンに合わせてリリースしようとしている。

 この野心的なスケジュールを守るつもりなのであれば、わたしはFedoraチームがいままでと比べて新機能の追加は控えめにして、今回のリリースのバグを修正することに集中することを願っている。以前、Fedora Core 6をレビューした(翻訳記事)とき、インストーラのバグに遭遇した。このバグはどうやらリリース時に既知であったようだが、リリース前に修正しておくべきだったと思う。そして今回のリリースでは、わたしのバックアップディスクのデータを失いかねないバグに遭遇した。大きなバグのないFedoraのリリースを期待している。

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