レガシーはSOAでこそ生かすもの――日立、Cosminexusの堅い選択

帳票データ処理を始めとするメインフレーム運用は、現代でも不可欠なもの。レガシーなシステムとSOAを共存させるためには、統合基盤が必要となる。日立は、新たなリリースとなるCosminexusで相互運用性の核心へと向かう。

» 2007年06月15日 15時45分 公開
[ITmedia]

 日立製作所 情報・通信グループは、既報のように統合システム構築基盤「Cosminexus」を6月6日から発売開始した。同パッケージブランドは、2006年8月にVersion 7として最新バージョンを発表。さらに細分化されているパッケージ間の統合化を進めるべく、アップデート発表されたもの。

 今回のアップデートでは、Cosminexusを“統合システム構築基盤”と称したことも進化を物語る1つだ。従来までの製品群をさらに最適化し、今回のリリースでは利用シーンが具体的に見えるように、それぞれの製品の統合化が進められた。

利用シーンに応じた構築テンプレートの提供

 「リファレンスアーキテクチャ」と呼ぶ新たなサービス提供は、同社がこれまでに培った100以上の事例を元として作られたシステム構築のガイド。特にこれを「適用ガイド」と呼び、Webページとして公開予定だという。

 これまでにもCosminexusには、システム構築を行う際の数百ページに及ぶ詳細なマニュアルがあった。しかし、ある程度のテンプレートに則した構築には、同社のコンサルによってガイドラインが設けられていた。これを製品サービスの一部として汎用化し、「リファレンスアーキテクチャ」として提供することができたのだという。

 このガイドラインは、今回の製品リリースコンセプトとなった「Rapid(迅速)な開発」「Pluggable(柔軟かつ着脱可能)な構築」「Collaborative(協調的)な運用」に基づくものであり、業務プロセスを最適化し構築しやすくするための構築ガイドだ。

 さらに今回の統合化で象徴的なのが、インタフェース統合の強化。「uCosminexus Portal Framework」と呼ぶ統合基盤の元で、ワークフロー基盤や文書管理、リポート印刷、オンライン基盤、オープンバッチ基盤といったビジネスにおけるプロセス、そして情報とをサービス連携する場合、画面上でも利用者が使いやすいよう配置することができる。背後にあるWebサービス連携をより分かりやすいフロントエンド(Webアプリケーション)として実現できるように整備されている(「スマートナビゲーション」機能)。

 ビジネスにおけるIT利用の現場では、メインフレームやオープンサーバ、PCといった環境のバックエンドに、オンライントランザクション、バッチ、ERP、CRMなどさまざまな業務システムがかかわっている。このような複雑なIT環境へSOAを導入する場合、インタフェース、プロセス、情報の3階層でシステム統合をするのが現実的であると日立は強調している。

 ユーザーインタフェースからデータまでの各階層を支える基盤製品群を強化し、Cosminexusブランドへと統合したのだ。

バッチ処理効率化するパッケージを新たに追加

 既存のシステム生かし、SOA(サービス指向アーキテクチャ)統合を行っていく場合には現代でもメインフレームとのデータ連携が欠かせないという。同社はこの点を重視しており、今回のCosminexusで新たなパッケージを追加した。

 オープン環境でバッチ業務を効率よく構築するための「uCosminexus Batch Job Execution Server」は、大規模かつ複雑なバッチプログラムのスケジュール実行やファイル操作を、比較的容易な定義で実現できるもの「オープンバッチ基盤」。従来であればバッチ処理をSOAで構築したシステムと統合する場合、ワンオフでバッチ処理との架け橋を構築することがほとんどだったという。しかし、これまでに培った事例を元に、同社はバッチ処理に不可欠な基盤をパッケージ化した。

 日立のCosminexusは、2006年にリリースのVersion 7で各サービスとなるピースがそろい、またそれぞれがバージョンアップを重ねることで成熟期に差し掛かった。同社のコメントによれば、これまでの導入案件を元に分かりやすさを追求したのが今回のCosminexusのいちばんのところ。2006年までは“SOA”というキーワードが先行し、アーキテクチャを製品でサポートするのが急務となっていたため、構築導入支援が比較的見えづらいものになっていたという。しかし、“今回のリリースでこれらが払しょくできた”と自信を見せている。

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