エレガントなシステム統合ソリューションを実現する秘訣DB統合による企業インフラの最適化手法 第3回

固い絆で結ばれたHewlett-PackardとOracle。盟友と呼んでもいいほどの両社は、それぞれが持つ企業が大規模なシステムの統合化を実現するための技術とノウハウを惜しみなく融合させ、顧客へと送り出している。両社が提供する、シンプルだが奥深いシステム統合ソリューションの秘密を明らかにしよう。

» 2007年06月20日 10時00分 公開
[PR/ITmedia]
PR

 システムを統合化することのメリットは、さまざまなところでメッセージされている。それを受け、実際にシステムの大規模な統合化を実現するには、具体的にどのような事柄が必要なのだろうか。単純に高性能で大容量に耐えうるインフラを用意するだけではなく、大規模な基幹系業務システムの統合化ゆえに考慮すべき技術、その導入のための体制がある。

統合化のメリットとデメリット

 前回までに、システムを統合することで、さまざまなメリットが得られることを解説してきた。省スペース、省エネルギー化、利用するライセンスの削減などによって直接的にコストを削減し、かつ、システムの集約化、標準化によって運用管理の手間を低減することで、結果としてTCOの削減につながる。さらに、運用管理の負荷が低減することで運用レベルが向上し、結果的にはシステムのサービスレベルの向上というメリットも見込める。

 また、集約化はセキュリティレベルを均質化し、システム全体のリスクを低減するだけでなく、日本版SOX法への対応で必要となる監査作業の対象を減らすといったメリットも挙げられる。加えて、標準化されたシステムリソースをプール化することで、ユーザーの要求に応じ柔軟かつ迅速にシステム環境を提供可能となるため、アジリティ向上の効果も見込める。

 ここまで述べてきたメリットは統合化を進めていくことで確実に得られるものばかりだが、その一方で統合化によるデメリットも発生する可能性があることを忘れてはならない。統合化はリスクも1カ所に統合してしまうことにほかならないからだ。たんにシステムを集めるだけでは、リスクが集中してしまい障害などに「脆い」システムができあがってしまうことを、あらかじめ懸念しておく必要がある。

極めて高い単体システムの堅牢性

 企業の基幹業務を扱うシステムを統合するのであれば、個々に基幹系システムの運用を行っていたものよりもさらに堅牢なシステムインフラが求められる。単体で落ちない、止まらないシステムインフラでなければ、複数の基幹業務を担うシステムインフラにはふさわしくない。

 では、単体で強いサーバインフラというのは、いったいどういうものだろうか。電源装置やネットワークの経路などが多重化されているであるとか、ストレージがRAIDで冗長化されているなどというのももちろんあるだろう。これらを実施した上にさらに、RAS(信頼性、可用性、保守性)を向上させる仕組みが、システム統合インフラには必要なのだ。HP IntegrityサーバのRAS向上の大きな特徴には、HPが独自に開発したHP sx2000チップセットが支える運用継続性の技術がある。

一般的なサーバとHP Integrityサーバのアーキテクチャーの違い。バス方式が大規模SMPの性能を重視したアーキテクチャーであるのに対し、セル・クロスバー方式は実運用での使用を重視したアーキテクチャーとなっている。大規模なシステム統合でこの点をないがしろにはできない

 標準技術を採用している一般的な大規模SMPサーバでは、バス方式のアーキテクチャーとなりどちらかといえば信頼性よりも性能を重視したものとなっている。システムの統合化で必要となる仮想化についても、基本的には論理的なパーティーション構成となり、物理パーティーションは設計上は存在しない。このことはパーティーションが電気的に分離できていないことを意味し、万が一の障害時にもパーティーションをまたがって影響が波及することが予測される。また論理パーティーションの場合には、多数のパーティーションを構築するとオーバーヘッドが発生しパフォーマンスも低下する可能性がある。

 これに対しHP Integrityサーバでは、セルクロスバー方式という独自のアーキテクチャーを採用している。これは、セルボード単位で完全に独立したモジュラー型のアーキテクチャーであり、必要に応じてビルディングブロック方式で拡張が行える。セルクロスバー方式では電気的な分離できるため、当該パーティーションに万が一障害が発生しても、パーティーション外にその影響が派生することを防げるのだ。

 さらに統合化で多数のパーティーション構成をとったとしても、性能劣化は論理パーティーションよりもはるかに小さくできる。また、電気的に分離しているということは、CPUやメモリの追加、交換といった作業もセルボード単位でオンラインのまま行える。このように、単体のシステムで高性能と高度な信頼性、可用性を両立させていることが大規模なシステム統合では重要になるのだ。

HP IntegrityサーバとOracle Gridでさらにシステムを強くする

 HP Integrityサーバがハードウェアレベルでの高性能および高度な信頼性、可用性を両立していることは上述のとおりだが、これをOracleのGrid技術と組み合わせることでさらに性能と信頼性、可用性を向上させることができる。

 Oracle Real Application Clustersに代表されるOracleのGrid技術は、HP Integrityサーバが提供する物理、論理パーティーションに対応しており、HPのVSE(Virtual Server Environment)のパフォーマンスと可用性、対障害性機能をさらに向上することになる。例えば、より性能を重視したい場合には性能劣化の少ない物理パーティーションで複数ノードのRACを構成する、あるいは信頼性、可用性を確実に担保したいのであれば、冗長構成として2台のHP IntegrityサーバにまたがるRACを構成するといったように、統合化するシステムが要求する条件に合わせ柔軟な構成が可能なのだ。

 この柔軟性は統合化のメリットをさらに引き出すことにもなる。例えば、開発環境であれば、信頼性や可用性よりも、いかに迅速に最適な規模のプラットホームを切り出せるかが重要となる。この場合ならば、統合化されているほかの基幹系のシステムに影響が出ないように、物理的に分離するため物理パーティーションのnParをまず切り出す。そして、その上に論理パーティーションのvParやHP VMで、柔軟に開発環境を構築できるだろう。これらのさまざまな構成については、すでに実際に稼働する顧客のシステムとして、HP、Oracleの組み合わせで多数の実績があるのだ。

実体のない災害対策になっていないか?

 単体のシステムをいかに堅牢化しても、すべてが1カ所に集中している状態では、災害などでサイトに障害が発生してしまうと、そこが単一障害点(一カ所での不具合の発生でシステム全体が機能しなくなる状態)となってしまう。これを回避するには、遠隔地に待機系のシステムを準備する必要がある。

 今や、災害対策は事業継続計画への関心の高まりからも、システムの統合化がなされずとも実施すべき案件である。とはいえ、システムの統合化がなされていないと、個々のシステムごとに待機系のシステムを遠隔地に用意することになる。この状況では、本番系がトラブルを起こした際にどうやってリカバリーしシステムを遠隔地のサイトで復旧するかを、個々のシステムごとに決めなければならない。仮に10のシステムがあれば、おそらく10通りの異なる遠隔地リカバリーの仕組みが存在するだろう。これでは、実際に災害が発生し本番サイトに障害が発生した際に、スムーズにシステム移行が行われるとは考えられない。

 バラバラのシステムに災害対策を施した場合には、個々のシステムの復旧レベルを同等に保てなければ、システム全体としては機能しないも同然である。仮に優先順位を付けてシステムを順次遠隔サイトで復旧していっても、たいていの場合はシステム間での連携が成立しないと、システム全体としては機能しないことが予測されるからだ。結局のところ、すべてのシステムが復旧できないと、システムとしては使い物にならないに違いない。

 そう考えると、災害対策を検討するならばむしろシステムの統合を前提条件ととらえた方がいい。統合化されたシステムであれば、その1つのシステムインフラについてだけ災害対策を実施すればいいことになる。データベースやアプリケーション実行環境を含むシステムインフラ全体の統合後に対策を実施すれば、災害対策のコストと手間を大幅に削減できるのだ。

 HPの災害対策のソリューションには、HP Continental Clustersがある。これを用いればハードウェアレベルで、遠隔サイト間におけるほぼ自動的なシステム復旧を実現できる。また、Oracleもデータベースの災害対策ソリューションとしてOracle Data Guardを持ち、Oracle Real Application Clusters とOracle Data Guard を軸にインフラの可用性を最大化するためのベストプラクティスであるOracle Maximum Availability Architecture (MAA)を提唱している。両社のソリューションを組み合わせて災害対策を実施すれば、災害発生時にも極めて短い時間でシステム復旧でき、ビジネスの継続が担保されるのだ。

システムの大規模な統合化にベストなパートナーシップ

 HPというと、世間ではまだまだハードウェアベンダーとしてのイメージが強い。もちろんこれはオープン系ハードウェアベンダーのリーダー企業であることを考えればあながち間違いでもない。しかし、Oracleとのパートナーシップを考えた場合には、ハードウェアベンダーというよりは、むしろ総合的なソリューションベンダーとして存在していると言える。

 HP社内には、Oracle専任のプロフェッショナルな技術部隊がある。もちろんOracle製品のサポートをする部隊もあり、ここにはOracle MASTERのPlatinum資格取得者、もしくはそれに準じるレベルの技術者が数多く所属しており、彼らが直接Oracle製品を扱っているのだ。これらのOracle製品を扱う強力な体制と強力な自社のハードウェアを、システムの統合化のソリューションとして組み合わせて提供できるのがHPの真の強みなのだ。

 特に大規模なシステムの統合化については、両社の製品の組み合わせでのリファレンスアーキテクチャーがすでに多数用意されている。これらは、2006年に設置されたOracle Grid Centerにおいて実際に検証作業を行い、両社での高度なノウハウを蓄積させた結果として提供されるものだ。

 ここまで見てきたように、HPとOracleの組み合わせは、個々の製品が機能的・性能的に高いレベルにあるだけではない。この組み合わせを販売する強力な体制、ソリューションとして構築し提供、さらにそれを継続的にサポートする技術的なバックボーン体制が極めて充実していることで、システム統合ソリューションの提供ベンダーとしてベストな組み合わせだと言える。

【特集】仮想化×グリッド――HPとオラクルが切り開く新境地

【関連記事】2007年新春特別対談 HP×Oracle

【関連記事】企業の内部統制対応に最適な統合プラットホームの実現

【関連記事】サービスとしてのITシステムは共有された「仮想化」と「グリッド」で実現される

【関連記事】いま求められるインフラ最適化のためのコンソリデーション、その背景と目指すものとは

【関連記事】3ステップで実現する企業システムの統合基盤化

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


提供:日本ヒューレット・パッカード株式会社
企画:アイティメディア営業本部/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2007年7月20日