勢いづくItanium連合、対RISCの市場獲得目標を上方修正

Itanium Solutions Allianceは、設立から2年目を迎えた「Itanium連合」の成果をアピールした。オープンなItaniumへの移行が予想を超えるペースで進んでおり、対RISCの市場獲得目標を上方修正した。

» 2006年10月06日 07時30分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 Itaniumアーキテクチャーの勢力拡大を目指す企業連合、Itanium Solutions Allianceは10月5日、都内のホテルでプレスやアナリスト向けのブリーフィングを行い、昨年9月の設立から2年目を迎えた「Itanium連合」の成果をアピールした。

 「日本市場においては、Itaniumサーバの売り上げがPowerやSPARCをベースとしたサーバを上回っており、RISCからオープンなItaniumへの移行は日本が世界をリードしている」と話すのは、Intelデジタル・エンタープライズ事業本部サーバ・プラットフォーム事業部長のカーク・スカウゲン氏。

 世界市場では、対Powerが42%、対SPARCは45%であるのに対して、日本市場ではそれぞれ104%、117%と凌駕している(2006年上半期:IDC調べ)。

 Itaniumアーキテクチャーを共同で開発し、PA-RISCからの移行を進める日本ヒューレット・パッカードでも、松本芳武エンタープライズストレージ・サーバ統括本部長によれば、ItaniumとPA-RISCの比率が3:1、つまり75%を占めるに至っており、「予想を超える移行ペース」という。

 好調な移行ペースが続いていることから、Itanium Solutions Allianceはこの日、今年初めに発表した、2007年末までに国内RISCサーバの売り上げ金額の5割をItanium搭載サーバの売り上げで占めるという目標を「6割」に上方修正し、より積極的な施策を打ち出すことも表明した。

 「Itanium Solution Center Network」では最新のItanium 2 プロセッサ 9000番台(コードネーム:Montecito)を搭載したサーバを無償貸出機として8台準備し、アプリケーションの動作検証を行いたいISVらの支援を強化する。

 また、アライアンス日本地域委員会では、国内でItaniumが強味を発揮しそうな、「大規模データベースシステム利用のためのWindowsサーバのスケールアップ」「Linuxサーバによるミッションクリティカルシステムの構築」、および「大規模マルチプロセッサによるHPC」という3つの領域に特化し、ISVとの連携を強化するという。

 10月19日に、Microsoft SQL Serverをテーマとした技術セミナー「Developer Days for Windows」、10月26日には、HPCのパフォーマンスチューニングやプログラミングをテーマとした「Developer Days for HPC」を開催する予定だ。

 こうしたISV支援は、アライアンスメンバー数の増加という成果として現れている。発足当初の23社だったメンバーは、1年で100社を超え、この日は、106社目のメンバーとしてEAIソリューションのインフォテリアを仲間に迎えている。

 「アライアンスへの参画によって、今後ともItaniumプラットフォームのサポートを確実なものにし、効率的で信頼性の高いソリューションを提供したい」とインフォテリアの平野洋一郎社長兼CEOは話す。

SPRAC/Solarisアプリケーションをそのまま

 Intelのスカウゲン氏は、Itanium Solutions Allianceが9月25日、Itanium Solutions Summitで発表したSunのSPARC/Solarisアプリケーションを書き換えることなくそのままItaniumに移行させるプログラム、「ISV Platform Expansion Program」についても触れている。

 同プログラムは、Transitiveの「QuickTransit」と呼ばれる技術を利用し、SPARC/Solarisのアプリケーションを、ソースコードやバイナリを変更することなく、Itaniumアーキテクチャー上で動作させることができるようにする取り組み。ネイティブコードではないものの、Itaniumの性能もあって、高速にSPARC/Solarisアプリケーションを稼働できるという。スカウゲン氏は、「SPARC/Solarisアプリケーションを稼働できる世界最速マシンはItanium 2サーバだ」と胸を張った。

 Itanium Solutions Summitではこれとは別に、Itanium上で動作するアプリケーションの数が1万本の大台を超えたことも明らかにされているが、さらにSPARC/Solarisのキラーアプリケーションが労せずして手に入ることになる。

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