Montecitoの船出は賛否両論

一部ユーザーはMontecitoを賞賛しているが、「Itaniumはこれまでそんなに魅力的ではなかった。どうして今回は違うと言えるのか?」という声も。

» 2006年07月26日 17時49分 公開
[Jeffrey Burt, Chris Preimesberger,eWEEK]
eWEEK

 Intelがついに待望のデュアルコアItanium 2を市場に投入した(7月19日の記事参照)。物議を醸してきたItaniumのこれまでの歴史と同様に、今回の立ち上げも関心と疑念が半々だった。

 Intel関係者は、7月18日のイベントでItanium 2 9000 Series(コードネーム:Montecito)リリースを祝い、シングルコア版と比べて消費電力を20%減らし、2倍の性能、2.5倍のワット当たり性能を提供する技術を宣伝した。

 Montecitoの立ち上げによりIntelの「サーバの夏」は続いているとデジタルエンタープライズ部門上級副社長パット・ゲルシンガー氏は語る。5月以来、Intelは2種のデュアルコアXeon DPをリリースした。また年内にはデュアルコアXeon MP「Tulsa」を発表する。

 Itanium 2 9000 Seriesは、200億ドル規模のRISC市場、特にIBMのPowerとSun MicrosystemsのSPARCプラットフォームをターゲットにしている。Montecitoはユーザーに、「ミッションクリティカルコンピューティングのための新たなアーキテクチャを選択する自由」を与えるとゲルシンガー氏は言う。

 OEM企業は同プロセッサを支持している。同プロセッサは1つのダイに2個のコアを搭載しているだけでなく、オンチップ仮想化機能と、プロセッサがエラーを検知して修正するCache Safe技術を搭載している。また最大17億個のトランジスタと24MバイトのL3キャッシュを備える。

 その結果、Hewlett-Packard(HP)の大手顧客の性能、可用性、コスト効率は高まるだろう。「顧客はソフト2本分の作業を1本分の価格で効率的に実行できるだろう」とHPのビジネスクリティカルシステム部門国際サーバマーケティングディレクター、ブライアン・コックス氏は語る。

 「新しいデュアルコアItanium 2はUnisysが、プロプライエタリなUNIX/RISC製品よりも優れたサーバソリューションを作り出す上で役に立つ」とUnisysのエンタープライズサーバ担当副社長マーク・フィーバーストン氏。

 IntegrityラインでItaniumシステム販売の80%以上を占めるHPは、Montecitoを年内にハイエンドシステムに採用する。Unisysは同プロセッサを現行のES7000/Oneと、同サーバファミリーの将来版に搭載するとフィーバーストン氏は言う。

 Fujitsu Computer Systemsなどほかの企業は、9000 Seriesを搭載したサーバの出荷を開始した。18日のイベントで、同社は「PrimeQuest 500」シリーズを発表、8から32ソケットの520、540、580の3種を投入した。

 Intelは昨年末から顧客にMontecitoシステムを提供していた。一部ユーザーは同プロセッサを賞賛し、これまでできなかった作業ができるようになったり、これまでと同じ作業をより高速にできるようになると話している。

 そうした顧客の1社が化学メーカーのDuPontだ。同社の高性能コンピューティング・コンピュータサービスを監督するティム・ミューラー氏は、Montecitoの性能向上により、科学者が2〜3年前にはできなかったであろう仕事を実行できると語る。「同じ時間でもっと多くの作業ができる。だがもっと重要なのは、もっと大きな問題に取り組めるということだ」

 しかし一部の業界観測筋は、Intelがこれまで期待に添えなかったアーキテクチャを活性化させる上で、9000 Seriesが役に立つかどうかについて疑問を呈している。同社はIBM、Sunのプラットフォームと戦わなくてはならないだけでなく、向上するx86プロセッサ――特にAMDのOpteronとIntelのXeon――の脅威も拡大している。

 Intel関係者は、売上高の増加、対応アプリケーション拡大、楽観的な予測――IDCは2010年までにItanium市場が66億ドル規模になると予測している――を挙げているが、同プロセッサのこれまでのトラブルの歴史と出荷量の減少を指摘する声もある。さらに、Itaniumシステムを提供する大手OEM企業はHPだけだ。IBMとDellはItanium製品の販売をやめ、SunはOpteronを選んだ。

 「Itaniumは、あらゆる客観的な基準に照らしてみると、IntelとおそらくHPが推進しているという点を除き、最初のミッションの点では失敗だった」とSageza Groupのアナリスト、クレイ・ライダー氏。「超ハイエンドコンピューティングという見直し後のミッションに関しては、汎用コンピューティング向けよりも成功している。ただし売り上げは低く、ほとんどのシステムベンダーに支持されていない。Montecitoのリリースで、Intelはある程度マーケティング力を活かせるかもしれない。だが、こう問わなければならない。Itaniumはこれまでそんなに魅力的ではなかった。どうして今回は違うと言えるのか?」

 確かにデュアルコアは望ましいとライダー氏は言う。「しかし、多くのプロセッサがデュアルコアになっている。特定のアプリケーション以外で、キャッシュが増えたことが重要になるだろうか」

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