気まぐれに振り回される「Googleパラサイト」

今日の商取引サイトは、「Webサイト」からGoogleに依存する「パラサイト」に変わってしまったのだろうか?

» 2007年07月05日 08時54分 公開
[Evan Schuman,eWEEK]
eWEEK

 わたしがGoogleをある程度好いていること、絶えざる革新と創造性から来る賞賛は認めざるを得ない。そして成功という形で現れたその再三の幸運も。

 だがその半面、わたしの生活はGoogleの気まぐれにすっかり依存しきっているというわけではない。だから同社の検索やそのほかのサービスの特異性は、職業上興味深いものであって、その程度のものだ。

 しかし、増えゆく中小電子商取引企業にとって、進化するGoogleのルールと手法は破滅をもたらし得る――あるいは、大成功をもたらし得る――ものであり、これは、こうした中小企業が実質「ノー」とは言えない問題だ。

 Yahoo!などの企業が最近努力しているにもかかわらず、Web検索におけるGoogleの圧倒的シェアに近づいた企業はない。昔はこれは「市場を買い占める」と呼ばれ、近所の社員の社交場で祝福される良いことだった。

 だが、米国のビジネス史において、Googleのような成功例はほとんどなかった。デトロイトの3大自動車メーカーはその最盛期においては、多数の部品・サプライメーカーにとって王様だったが、その影響力が及んだのは1つの垂直業界――自動車業界――のみであり、その影響力は3社に分かれていた。

 Googleの場合、成功が1社に集約しており、しかも自動車のドアからクリームチーズ、空手教室まであらゆるものを販売している世界中の電子商取引業者に影響を与える。

 もしも最新のGoogleのルールが自分に有利に働いたら、同社がプロセスを変更した時に、ライバルよりも1時間遅くそれに気付いた場合とはかなり違ったことが起きるだろう。

 これを独占と考えるべきだろうか? そうは言えない。ほかの企業は自由に独自の検索サービスを提供できるからだ。だが、米国にはおよそ72万7000の小売業者がいる(この数字はわたしがでっち上げたんじゃない。米国勢調査局のデータだ。同局が作った数字だ)。Googleに、皆のビジネスニーズに合わせる義務はあるだろうか?

 Googleの観点からすれば、こうした小売業者に文句を言う権利などあるだろうか? 彼らはWebサイトからパラサイトに変わってしまったのだろうか?

 TravelZooというサイトのマーケティングを担当するエリック・クアルマン氏はそこまでは行っていないが、自分の会社をGoogleの気まぐれに大きく依存させていることにプレッシャーを感じている。

 問題は、TravelZooは短期間の特別なプログラムを多数抱えており、それに間に合うように認知してもらうためのGoogle広告やリンクを手に入れられないことだ。

 わたしは以前にこのコラムで、Google検索がさまざまな時間の要素を頭に来るほど理解できない――「一番新しい日付の項目を表示する」「直近で見つけた項目を表示する」など――と書いたことがある。

 わたしは定期的にテクノロジー関連の小売業者の検索を実行している。たいてい4万件程度の結果が返ってくる。例えば、4日連続で4万586件の結果が返ってきたかと思うと、5日目には5万4586件になっていたりする。Googleが以前は知らなかった1万4000件の検索結果を見つけたものとわたしは考えている。その中には5年前のページもあるかもしれない(オーケー、1万4000件以上ある可能性もある。古い検索結果の中には削除されたものもあるかもしれない。だが、ここは簡単に考えよう)。「過去24〜36時間以内に検索システムが『発見した』回答を表示しろ」と指示する方法はない。

 だが、わたしにとって検索は便利なツールであり、たくさんあるツールの1つでしかない。わたしたちの収入がすべてGoogleの最新コーディングに依存していたらどうなるだろうか?

 そう、今日の電子商取引の世界は冷たくハードだ。まだ疑っているのなら、Googleで検索してみれば分かるだろう。

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