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» 2007年07月10日 15時46分 公開

マネジメントトレンド:生き残りを賭けた改革:BPM――今世紀最大の挑戦 (2/2)

[富永康信(ロビンソン),ITmedia]
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医師中心から看護中心のプロセスへ

 欧米の医療改革の要件は、プロセスの標準化、チーム医療、パフォーマンス指標、知識共用の4つで進められている。従来は医師や専門家を中心としたシステムで作られていたが、今後EHRを開発する場合には、チームケア、統合診療・統合医療など、医療情報を共有するプロセスが主体となる。このため、医療先進国では、最も患者に接する「看護のプロセス」を中心とした標準化が進められ、従来の急性期病院(手術や内視鏡等の手技を行う病院)中心のプロセスから、患者中心、初期ケア診療中心で地域連携や公衆衛生も重視したプロセスへと標準がシフトしている。

EHR開発の基本概念図

 「医療先進国は、国を挙げて幅広い関係者を巻き込んだEHRで共通のプロセスを確立しようとしている」と長谷川氏は評価する一方、医療業界内でばらばらにことを進め、データもプロセスもつながらない日本の状況を憂慮する。

 ここで同氏から、米国のEHRにおけるBPM導入の検証例が紹介された。インディアナ州にあるグッドサマーティアン病院では、投薬プロセスの再設計による自動化で、安全性の向上と医療効率の改善を目標に実施。03年から05年での調査において、投薬エラーが25%改善し、バーコード読み取り率が64%から97%へ、患者満足度は51%から81%に向上した。また、ニュージャージー州に8カ所の医療施設を持つソラリス健康システムでは、投薬安全に向けた測定基準主導の評価プロセスアプローチを実施。投薬タイミングの相違が25%から6%に減少、投薬相違も45%減少し、バーコード実施処理が74%から90%に改善した。

 日本の医療機関は、機能や技術ばかりに注目が集まるが、プロセスは明確化しない。また、既存のシステムに積み上げていき、責任と役割分担が明確ではないという。一方、米国の医療機関は、利用や効果など人への関りを重視し、コンテンツとプロセスの両方に対応する。そして、可能な限り分散化する方向で、責任や役割分担は明確にしていくのだという。

BPMは今世紀最大の挑戦

 重要なのは、質の高い信頼できる標準をいかにBPMで共有していくか。米国では、どんな田舎の診療所でも必ず最新のガイドラインが入手でき、同様なワークフローで医療サービスが受けられるシステムに取り組んでいる。そのため、去年だけで7つの法律を改正し、あらゆる医師や専門家に情報が行き渡るような環境を作ろうとしている。

 「BPMはITにおける今世紀最大の挑戦。医療産業も今世紀最大の産業とも目される中、大規模なBPMを世紀のプロジェクトとして推進しようとしている」(長谷川氏)

 医療現場でのBPMは、先進国企業の生き残りをかけた改革のベンチマークとして大いに参考になるだろう。

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