ITプロジェクトの成否は組織変革のための計画にかかっているマネジャーの教科書(2/3 ページ)

» 2007年07月13日 06時54分 公開
[Ken-Myers、Ron-Pierce、Tim-Strominger,Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine

必要性を感じてもらう

 プロジェクトでは、変革が必要であるということをプロジェクトによって影響を受ける人々に納得してもらうことが重要になる。従って計画を考えるときには、どのようにしたら、変革案に対する前向きな感情を生み出すことができるのかということを意識しておこう。また、個人と組織の福利にとって改革が欠かせないものであるということを分かってもらうようにしよう。そのためには合理的な説明を用意したり、新しい方法/技術についての教育を増やしたり、さらにはプロジェクトの全体的なプロセスに簡単にかかわってもらったりすることで、変革の必要性を認識してもらうようにすれば良いだろう。最低限でも、変革によって影響を受ける人々が無関心でないようにするためにできることは考えておかなければならない。そうしなければ、そのような無関心さが原因となって計画が狂ってしまう可能性もある。さらに言えば、単にプロジェクトに従うよう上司に命令してもらうだけでは、単に既存の抵抗勢力を表立って抵抗できなくすることはできるかもしれないが、根本的な解決にはつながらない。

変革を支持する社風を構築する手助けをする

 現代的な組織では、不断の変革・改善が競争力を維持し成功するための唯一の真の方法であるといえるかもしれない。IT専門家であればなおさら、システムの継続的な向上の必要性を認識していることだろう。しかし顧客の多くは既存の方法に安住していて、改善プロジェクトを直ちに始めることには消極的である可能性もある。そのためITプロジェクトを導入しようと計画している組織の既存の社風を把握するように努めるようにしよう。すでに述べたように、変革に対して消極的な組織では、変革が重要で必要だということを個人個人に支持してもらうために、組織の年長者のリーダーシップに訴える必要があるかもしれない。また社風の変革は長期的なプロセスであることが多いため、プロジェクトがほんのわずかな影響しか与えることができない可能性もある。従って社風の壁が大きすぎるように感じたときには、プロジェクトのタイミングが適切かどうかを上司に相談する必要があるかもしれない。価値のあるプロジェクトがかなりの予算を増補した上、社風という壁を乗り越えることができずに結局失敗したという例が数多くあったということを知っておこう。

変化しないことを説明する

 ITプロジェクトによって「変わらない」ことを説明するということは、あまりにも頻繁に見落とされがちだ。日々の生活において安定性を重要視するのはほとんどの人によくあることだが、このことは職場でも確実に当てはまる。プロジェクトを実行する際には、何が変わらないのかということを定義することで、安定性を重視する傾向にある人々を部分的にサポートできる。

成功のための教育

 プロジェクトの成功のためには、プロジェクトがもたらす変革の価値を顧客が認識するように(あるいは少なくとも抵抗しないように)手助けするほかに、「教育」も必要だ。そのためプロジェクトの予算には、トレーニングのための予算も十分に含めておかなければならない。危なっかしいユーザーや能力のないユーザーは、それ以外の不具合のほとんどよりも、プロジェクトの破滅を早める大きな原因となる。単純に言って、適切なトレーニングはプロジェクトが組織にもたらす変革の成功を決定付ける、プロジェクトにとって不可欠のステップだ。この観点から、トレーニングは徹底的に行うようにしよう。また可能であれば少なくとも少しは顧客にとって興味深く楽しめるものにすると良い。高度に技術的な問題/手続きであっても、プレゼンテーションが前向きで巧みであるということはそのような観点から好ましい。

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