WiMAXにも対応? KDDIの企業向け新端末のコンセプト

KDDIの小野寺社長は、複数の次世代無線サービスに対応した企業向け新端末のコンセプトを発表した。

» 2007年07月18日 19時52分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 KDDIの小野寺正代表取締役社長兼会長は7月18日、東京ビッグサイトで開催中のワイヤレスジャパン2007の基調講演に登壇し、同社の法人市場向け事業について説明を行った。

小野寺社長

 同社は、携帯電話網と固定網をシームレス化するFMC(Fixed Mobile Convergence)を法人およびコンシューマ市場の将来展開の機軸に据える。特に法人市場では「システムやアプリケーションの構築から運用サポート、決済までのすべてをワンストップで提供して欲しいというニーズが強まっている」(小野寺社長)という。

 同時に固定網と無線網を問わないシームレスなアクセス環境の実現や基幹業務アプリケーションのSaaS化を望む声も日増しに強まる。こうしたニーズを受け、同社は6月27日にマイクロソフトと共同でSaaSを展開すると発表(関連記事参照)した。

 小野寺社長は「通信事業者はWANまでが事業領域になるが、ユーザーにすればLANもWANもネットワークの一部分。どちらかだけといこうことでなく、今後はLANも含めてKDDIがすべてのネットワーク、システム環境をサポートできるようにしていく」と語った。

重要なのは端末

 小野寺社長は、将来の法人向け事業では携帯電話端末の重要性がさらに高まるとして、「長時間使用やセキュリティなどコンスーマとは大きく異なるニーズがある。法人端末としての今までに無い可能性を追求した端末ロードマップを考える必要がある」と述べた。

 これまでに法人向け端末は、長時間駆動の「B01K」、無線LAN/CDMA両対応の「E02SA」、堅牢・防水仕様の「E03CA」をソリューションに応じて展開している。新しい法人向け端末では、CDMA 2000の高速化規格となるRev.AやWiMAX、オールIPのコアネットワーク環境の「MMD」、近距離高速無線通信規格「UMB」など、複数の次世代高速ネットワークに対応した端末を計画する。

従来の法人端末は長時間バッテリやセキュリティ、タフネスが特徴だが、新端末は次世代高速通信への対応が特徴となるもよう

 しかし、このような固定/無線の統合サービスを展開するには、別々となっている今のネットワーク環境では限界があると小野寺社長は話す。同社では2005年にIPベースの次世代コアネットワーク「ウルトラ3G」構想をスタートさせ、ネットワークの構築を進めるとともにウルトラ3G環境で実用化される技術開発を進めている。

 その1つに「コグニティブ無線」と呼ばれる複数の無線通信方式をソフトウェアベースで制御する技術がある。コグニティブ無線では、3G携帯電話網やWiFi、WiMAXなどの無線規格に対応したハードウェアを個別に用意する必要がなく、すべての制御をソフトウェアで行うという。

総務省の委託を受けて研究を進めるコグニティブ無線

 コグニティブ無線では、P2Pのような自律型ネットワークも構築でき、例えば地震発生地域で基幹ネットワークが停止しても特定のエリア内で通信手段を確保するといった応用が可能になるという。

 小野寺社長は、「法人サービスではMVNO(仮想移動体通信事業者)との連携も重要。すでにトヨタやいすゞ、セコムとのサービスを実現させている」と話し、総務省が次世代のモバイルビジネス環境で求めているMVNOの新規参入促進について、既存事業者として前向きな考えであることを強調した。

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