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» 2007年07月20日 18時26分 公開

デルはマネージドサービスプロバイダー業界の専制君主となるか?

米DellによるSilverBack Technologies買収は、パートナーと顧客にどのような影響を与えるのだろうか?

[Sean Gallagher,eWEEK]
eWEEK

 Dellがマネージドサービス技術プロバイダーのSilverBack Technologiesを買収し、ビジネスサービス製品を開発していくための基盤のさらなる拡充を図った。はたして同社は、以前から標榜していた流通経路戦略にこれを組み込んでいくのだろうか、それとも流通チャネルにおける競争をより激化させていくのだろうか。

 SilverBackの技術は、サービスプロバイダーがインターネット上に存在する顧客のITインフラストラクチャを、リモートから監視/管理/設定するのに利用されている。Dellは2006年9月、サービスおよび顧客技術サポートを改善する「Dell 2.0」戦略を打ち出したが、SilverBackの買収はその理念にぴたりと合致するものだ。サーバやストレージ、ネットワーキングハードウェアといった顧客のインフラを遠隔地から管理するサービスの提供体制を整えることで、Dellは単なるハードウェア屋ではなく、中小企業の仮想IT部門という立場へステップアップしようとしている。

 Dellの広報担当を務めるデビッド・グレイブス氏は、「当社の長期成長戦略にとってサービスは重要な要素であり、SilverBackの買収によってそうした事業の基盤をより強固にできると考えている」と述べた。今回の買収は、「サービス戦略全体のレベルを押し上げる」(グレイビス氏)ものなのだという。

 Technology Business Researchのアナリスト、ジョン・スプーナー氏は、英国のサービスプロバイダーACSを昨年11月に買収したのを皮切りにDellが始めた取り組みの延長線上に、SilverBackの取得があると指摘した。ソフトウェアとソフトウェアアップデートを一体化させて配布できるようになるACSの技術は、Dellが顧客にデスクトップ管理サービスを効率的に提供することを可能にする。

 「SilverBackの買収は、ACSの取得とほぼ同じ理念の下に行われた。今回の計画がうまくいかなくても、600億ドルにおよぶ年商を上げているDellにとってはそれほど痛い出費ではなく、非常にリスクの低い買収だったと言える。Dellはこのところ、同社のサービス部門で幅広く応用でき、なるべく多くの顧客に提供していくことが可能な技術への投資を繰り返している」(スプーナー氏)

 DellがSilverBackの買収から得たのは、サービス技術だけではない。すでに多数のマネージドサービスプロバイダー(MSP)やパートナー企業がSilverBackの技術を活用して、さまざまなITインフラ管理サービスを提供しているのだ。一部のMSP市場関係者は今回の買収を、マネージドサービス事業の将来性を約束するものであり、サービスプロバイダーに恩恵をもたらすものであると見ている。

 ダラスに本社を置くシステムインテグレーターで、マネージドサービスも提供しているNetwork Partnersのプレジデント、ビル・フッド氏は、「すばらしい出来事だとしか言いようがない。いろいろな意味で、SilverBackは現在販売されている最も優れた製品の1つだということが、今回の買収の意義をさらに高めている。売り上げアップにつながるあらゆるSilverbackの機能を、存分に活用していきたいと思う」と話した。

 Network Partnersは、SilverBackの技術に基づいてマネージドセキュリティサービスを構築し、数百の顧客のファイアウォールをリモート管理している。SilverBackの技術が備えている特徴から、Dellはビジネス顧客にマネージドサービスを利用させる際に必要となる統合サービスを提供するため、Network Partnersのようなパートナーに協力を仰ぐだろうと、フッド氏は展望を述べた。

 「マネージドサービスはハードウェアとは違うものなので、販売の仕方も異なってくる。単に販売人員を用意すればよいわけではなく、一大勢力を投入する必要があるのだ。マネージドサービスの販売実績においては、わが社はどこにも引けを取らない」(フッド氏)

 Dellの新たな流通戦略の中で、SilverBackのパートナー企業がどのような役割を果たすことになるのかは、まだわかっていない。しかしフッド氏は、Dellの幹部はSilverBackチャネルパートナーの価値を認め、技術を完全に囲い込むような行動は取らないはずだと、自信をのぞかせている。「SilverBackの技術が多くの支持を集められたのは、同社が流通経路をうまく管理したからであることに、Dellも早晩気がつくだろう。数千単位ではなく、わずか40〜50社のパートナーが形成しているチャネルであるのに、SilverBackの流通経路はこれまで見たことがないほど効率的に機能している。これが、製品の驚くべき迅速な進化にもつながっているのだ」(フッド氏)

 とはいえ、極めて優れたパートナー基盤をすでに築いている企業に対し、Dellがどういった態度を取るのか考えてみると、不安どころか戦慄を感じると言う者もいる。

 MSPの専門企業協会MSPAllianceでプレジデントを務めるチャールズ・ウェーバー氏は、「Dellがこうした環境を非常にうまく生かしていくこともあり得るし、徹底的に破壊し尽くすこともあり得る」と語った。

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