WAN最適化を切望する地方の中堅中小企業

光回線などブロードバンド環境が十分に整備されているとは言えない地方において、WANの最適化は大きな福音をもたらす。鳥取県にある寺方工作所では、Blue Coat製品を採用してWANの最適化を図った。その効果は?

» 2007年07月24日 19時12分 公開
[ITmedia]

 鳥取県でプレス金型設計製作や精密プレス加工を手掛ける寺方工作所は、工場と本社間を繋ぐWANの最適化用途に、ブルーコートシステムズの「Blue Coat SGアプライアンス」を採用した。ありふれたニュースだが、このニュースは地方の中堅中小企業の現実をよく示している。

 寺方工作所では従来、本社と工場を繋ぐリモートアクセス環境として、フレッツADSLにIPSecVPN(回線速度40Mbps)を通して利用していた。本来ならフレッツ光などを導入したいところではあるが、このあたりでは光がまだ利用可能ではない。また、基地局からも離れた場所にあるため、ADSLにIPSecVPNを通したときの実行速度は4Mbps程度だった。

 50ms、100msレベルの遅延も頻繁に発生、ネットワーク越しに60Mバイトのフォルダを開くのに5分程度掛かってしまったり、6Mバイト程度のExcelファイルを開くのにも5分程度掛かってしまうなど、社員の業務効率を著しく低下させていた。

 こうした背景からBlue Coat SGアプライアンスの導入に至った同社。導入のポイントとしては、Blue Coatプラットフォームに採用されているWANアプリケーション最適化機能「MACH5」のオブジェクトキャッシングが、CIFSプロトコルに直接機能し、遅延を解消できること、アプライアンスのライセンス費が回線速度によるものではないためにコストパフォーマンスに優れることなどが挙げられる。

 導入後は、60Mバイト程度のフォルダを開くのが数秒程度に、6Mバイト程度のExcelファイルを開くのが40秒程度に改善された。都市部のように光回線などが利用可能な地域であれば「遅い」と思われるかも知れないが、通信環境を考慮すれば、かなりの改善が図られたと言える。

 寺方工作所では今後、本社に社内用Webサーバ構築の予定があり、今回のアプライアンス導入時にWebプロキシ機能も有効にしている。この結果、通常のインターネットアクセスも高速化されたという。

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