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» 2007年08月04日 07時00分 公開

企業は従業員を信頼しなくなったのか?ITmediaエンタープライズ Weekly Access Top10

企業が従業員を監視する動きが顕著に見られるようになってきました。それって信頼関係が足りてないんじゃないですか……。

[藤村能光,ITmedia]

 今週もっとも注目を集めた記事は「Nintendo DS(Lite)でオープンソース系ソフトウェアを使用する」でした。掲載から1週間が経とうとしていますが、デイリーランキングでもいまだに上位にランクインしています。はてなブックマークによるブックマーク数も250を超え、ITmediaエンタープライズの注目記事において堂々の殿堂入りを果たしました。

 第7位の「あなたのメールはのぞかれている」はとてもショッキングな記事でした。従業員の送信メールやコンピュータの中身を企業側が厳しくチェックしている可能性が高いという現状が明らかになったものです。企業の規模が大きくなるにつれて、この動きはより顕著に見られるといいます。

 監視社会の波は自分たちのすぐ側まで押し寄せているのではないかという印象を受けました。監視社会はイギリスの作家ジョージ・オーウェルが書いた全体主義国家を批判した小説『1984年』や、カナダの社会学者デイヴィッド・ライアンの著書『監視社会』などで取り上げられました。映画ではチャールズ・チャップリンが監督主演を果たした『モダン・タイムズ』でも言及されたテーマです。

 監視社会は日本でも浸透しています。例えば犯罪防止や警備のために歌舞伎町では50台以上の監視カメラが設置されています。また各地方自治体が管理する住民基本台帳を電子化し、ネットワークを介して共有する住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)の問題が物議を醸し出したことも記憶に新しいでしょう。

 このような時に思い浮かぶのは「信頼関係」という言葉です。家族や友達などを監視することはないように、信頼関係が成り立つところに監視は必要ありません。企業が従業員をつぶさに監視することは、両者の間に信頼関係がないことの裏返しではないかと感じてしまいます。

 従業員にとって、電子メールやコンピュータの監視は直接目に見えません。そのため自分が起こした問題を自覚しにくい。企業が損失を生み出す原因はそこにあります。企業は「人」によって形成されているという前提に立つならば、根幹を為す従業員一人一人が問題を自覚し、改善に向けて自発的に動くことで、企業体制は健全化するのではないでしょうか。

 企業は明確なポリシーを用意し教育体制を整える、従業員はそれを徹底して理解し実行する。過程を経ることで、企業内における信頼関係は構築されるのでしょう。少なくとも一日の大半を過ごす企業の中で不当な監視に脅かされないようにすること。眼前に迫り来る監視社会に対抗する一つの手だてになるのかもしれません。

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