3年ぶりのメジャーバージョンアップとなるMovable Type 4.0日本語版が登場した。今回のバージョンアップでは、新たな方向性として統合管理がポイントの1つになった。主要画面を見ながら、その新機能を検証していこう。
実に3年ぶりのメジャーバージョンアップとなるMovable Type 4.0日本語版(以下、MT4-ja)が2007年8月8日にリリースされた。今回のバージョンアップはユーザーインタフェースの抜本的な変更を始め、機能面のバージョンアップに加え、その位置づけも今までのブログツールから、「統合ブログプラットフォーム」に変更されている。
これにより、製品ラインアップもこれまでのMovable TypeとMovable Type Enterpriseの2つではなく、Movable Typeとそれに機能追加を行うコンポーネント群という形態になったのだ。
このレビュー記事では、MT4-jaの製品候補版を元に新しいMTの形を見ていく。なお、本稿で用いたRC2-ja(Release Candidate:製品候補版)は、正式リリース版との違いが見られなかった(8月9日現在)。RC4段階における開発陣からのコメントでは、今後の追加機能は4.1に回すと表明されている。
以前からWordPressなど対抗となるブログツールでは、ウィザード形式のインストール、セットアップが可能であった。Movable Typeもこのバージョンからウィザード形式でのセットアップがサポートされた形だ。このセットアップウィザードはデータベースの設定から始まり、ユーザー登録、最初のブログのセットアップまでをサポートしている。このため、インストールが済んだ時点で、最初のブログが1つ立ち上げることができるようになった。
なお、これまで通り、mt-config.cgiを編集して設定反映することができる。この場合、データベース情報などを含めておけば、データベースをセットする、セットアップの前半が省略されるのだ。また、HTMLUmaskなど、生成するページへのパーミッション設定といった個別の詳細事項については、今後もmt-config.cgiを手動設定することになるので、注意しよう。
インストールの際には幾つかの注意が必要だが、特筆すべきはサポートするデータベースが変更されたことだ。特に、データベースへアクセスするモジュールの変更から、Berkeley DBが使用できなくなったため、現在、同DBでMovable Typeを使用していて、MT4-jaへのアップグレードを考える場合、MySQLなどほかのデータベースに一旦アップグレードしなければ、MT4-jaを利用することができない。この点に注意が必要だ。なお、MySQL、PostgresSQLを使用している場合でも、最低限のセットアップ条件が変更されているため、インストール前にmt-check.cgiを実行し、確認しておくとよいだろう。なお、インストールをするための条件は以下の通りである。
■MT4-jaの主な動作環境
実際のブログ運用時には、管理者、デザイナー、エンジニア、投稿者、そして、記事にコメントを付ける読者など、多数の人が関わることなる。それをふまえて、MT4-jaではユーザー管理が詳細に設定できるようになった。
これまでは管理者と投稿者という形でのみユーザー管理が行われていたが、今後は、例えば登録されていない読者のコメントは受けつけない、といったこともできるようになったわけだ。
このような詳細な権限が可能となったほかに、変更点はMT4-jaの随所に見られる。例えば、これまでエントリーとコメントしかできなかったブログのバックアップも、MT4-jaからはエントリーに含む画像などもいっしょにzip形式でバックアップできるようになった。当然ながら、このバックアップからリストアまでを行うことができるため、サーバを超えたブログ環境移行も楽にできるわけだ。
また、これまでのMovable Typeではファイルのアップロードはできても、アップロードしたファイルを削除したり、管理することができなかった。しかし、MT4-jaでは新しいファイル管理システムが組み込まれており、サーバ上にアップロードしたファイルの管理を、Movable Type上で行うことができるようになった。このため、画像ファイルを削除するためにいちいちFTPでサーバにアクセスする、といった必要がなくなった。
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