在宅ワーカーのためのITツール(2/3 ページ)

» 2007年08月22日 01時04分 公開
[K.G.-Schneider,Open Tech Press]

電子メール

 大容量のストレージを提供している、企業向けの優れた電子メールサポートは、言わずと知れた管理ツールだが、あまり評価されていないこともある。在宅ワーカーの一人(本記事では匿名を希望した)によると、彼の組織では、社外にいる人に対する電子メールのサポートが非常に貧弱であり、そのことがすべての在宅ワーカーに影響しているとのことだ。このような点があなたの会社でも障害となっていないかを確認するため、ある程度の長期間に渡ってあなたの会社のエンタープライズ電子メールシステムを会社の物理的な境界の外から試してみるのは意味があるだろう。Webメールなど、出張しがちな人向けに設計されたソリューションの中には、メインのメールクライアントとして日常的に使うには面倒であるものもある。

 在宅ワーカーのための優れた電子メールサポートが持つ価値は、単に連絡手段ということだけには留まらない。電子メールは、在宅ワーカーと従来の形態で働く人々とのつながりを構築して維持することにも役立つ。在宅ワーカーとして働くPolaris Library Systems社のキャンディ・ゼモン氏は「あらゆる(「誰か電気をつけっ放しだ」や「キッチンにある食物を自由に食べていいよ」といった類いの)社内メールを読むのは楽しい。自分が一緒に仕事をしている人々の様子が想像しやすくなり、会社の一員であることを実感するのに役立っている」という。ノースカロライナ州カーボロの Carrboro電子図書館の分館長マーゴ・マワホフスキー氏も同じ意見だ。夕べの催し物の企画を手伝う、図書館学校からの数多くの在宅インターンの指導に当たっている同氏は、「わたしのチームの全員が、実際には自分が担当している仕事ではないものについても、日々の業務で何が起こっているのかを把握していることが重要だ。というのもわたしたちの日々の業務は、夕べの催し物の企画内容にも非常に影響するからだ。特に、催し物として何をやるかの決定に影響を与える」と述べた。

 電子メールはとにかく頻繁に用いられる。現在はニューヨーク市立大学で政府刊行物部門長を務めるが、以前は海外に拠点を置く企業に在宅ワーカーとして2年間勤務した経験もあるというグレースエレン・マックラン氏は、「在宅ワーカーの満足度と生産性とをどちらも高く保つためにわたしは在宅ワーカーとの連絡に使う言葉というものに特に気を使っている」という。マックラン氏にはラジオ用コマーシャルの執筆を行なっていた経験もあるため「読んでもらうことが目的の文章は、聞いてもらうことが目的の文章とは非常に異なっているということは認識していたが、電子メールとIMの場合にもかなり異なっているということが分かってきた」と付け加えた。

 しばしば非難されることもある顔文字――書き手の感情を視覚的に表わす文字――でさえも、在宅ワーカーに対する連絡や在宅ワーカー同士でのやり取りでは役立つこともある。マックラン氏は「書き言葉では、読み手は書き手の目の輝きを見ることや、声に含まれている笑いを聞くことができない。これによって非常に大きな違いが生まれる」と指摘している。また、離れた場所にいる場合、問題が心にわだかまったままになってしまうこともあるという。「在宅ワーカーは物理的な職場において人つきあい/絆作りをしないため、何か問題が起こった場合に、遠くにいる従業員(在宅ワーカーにとっては会社で働く人々、会社で働く人々にとっては在宅ワーカー)を中傷しがちになる」。このようなことがあるので、絶え間のないコミュニケーションと、この形態での作業を円滑化するためのツールをサポートすることと、在宅ワーカーとマネジャーとがどちらも定期的にログオンすることなどが非常に重要だ。

 ゼモン氏はPolaris社での仕事のかたわら、従業員の全員が在宅ワーカーであるWebホスティング会社Hen's Nestも運営している。ゼモン氏は「絆作りと自己啓発のための時間として、一日一度はログオンする」ことを勧めている。それに関連して言えば、自分の作業時間を自分で自由に決めることができるということが在宅勤務の利点の1つのように考えられているが、実際にはマネジャーたちは、連絡を迅速にできるように、多くの場合において従業員はみな同じ時間帯に作業するべきだと考えている。ペンシルベニア州ルイスバーグのバックネル大学でデジタル・イニシアティブ・グループのリーダーを務めるアビー・クロブリッジ氏は「わたしの同僚のほとんどにとって、わたしをつかまえることができる時間が毎週決まっているということは、仕事を円滑に進めるのに非常に役立っている。また、わたしに親近感を持ってくれることにもつながっているようだ」と述べた。クロブリッジ氏によると同氏は、チームで問題や課題に対処するための、毎週行なわれることが決まっている電話会議を幾つか抱えているという。

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