恐怖の停電対応で男子更衣室に侵入!?女性システム管理者の憂鬱(1/4 ページ)

1年のうちで、システム管理者がかかわっていることさえ意識されない、地味な定例イベントがある。それは停電対応だ。だがこれは、たくさんの貴重な経験が積める修行の場とも言える。

» 2007年08月29日 07時00分 公開
[高橋美樹,ITmedia]

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 システム管理者には、1年のうちで必ず対応しなければならないイベントというものがある。新入社員を迎えるためのレイアウト変更やPC準備、人事異動シーズンの対応などは、システム管理者以外にも何かしら影響があるイベントのため、その忙しさや苦労は一般の社員にも分かりやすいものだ。しかし中には、そこにシステム管理者が関与していることさえ意識されない地味なイベントもある。停電対応だ。

 最低でも年に1度は行われる法令点検に伴い、常時稼働させているサーバの電源を落とし、設備点検が完了した時点でサーバを立ち上げる必要がある。単純に、サーバを終了して起動すればいいだけの話じゃないかと、事情を知らない人は思うだろう。ところが、そう簡単にいかないところがシステム管理者の運命であり、停電対応は多くの貴重な経験が積める修行の場とも言えるのだ。

仕事をボイコットするサーバたち

 わたしが本社運用チームから異動になって1カ月、前の職場で一緒だった社員が浮かない顔をしていた。

わたし:「トラブルですか?」

同僚:「いえ、今トラブルが起きているわけではないんですが、もうじきこのビルが停電なんですよ」

 あ、分かる、その気持ち。同僚は、年に1度の停電対応を思い憂鬱になっていたのだ。停電となるそのビルは、本社運用チームの拠点であり、全国の主要サーバの監視を行っているサーバ群や、Active Directory(AD)サーバの親玉のようなサーバを抱えていた。停電の直前まで全国の拠点に分散するサーバ群ともデータ連携をとっているため、システムを停止する前に、さまざまな調整が必要だ。それだけでも憂鬱になるが、もっと大きな心配事が関係者の心を重くしていることが感じられた。

わたし:「今度はどのあたりが危なそうですかね」

同僚:「うーん、こればっかりは予想もつかないですね」

 新しいシステムが導入されると、以前のシステムを構築していたサーバは「お役ご免」となることが多いが、実際には固定資産の関係や、廃棄するのはもったいないという理由で、ほかの用途に再利用されることがほとんど。中には、あまり調子は良くないが、取りあえずそれほど重要ではないシステムに再生されるものもある。そうはいっても、こうした処置が社員の間に浸透してしまうと、それはそれでなくてはならないシステムとなってしまうのだが。

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 そんな、やっと動いているようなサーバは、半日あるいは1日という長い停止状態に置かれると、緊張の糸が切れたかのように、その後起動しなくなることが多かった。古いサーバばかりか、昨日まで具合の悪さなどみじんも感じさせなかったサーバも、停電明けに突然立ち上がらなくなることがある。そんな光景がわたしの目には、毎日、何の疑問も抱かず一生懸命働いてきたサーバたちが、ぽっかりできた休みでふと我に返り、働くことをボイコットし始めたように映っていた。

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