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» 2007年08月29日 07時30分 公開

“ホンネ”の見える化で組織を活性化

組織活性には社員の気持ちを探ることが必要不可欠だが、対話だけでは本音を明かしづらいことも。本音を見える化する方法とは。

[國谷武史,ITmedia]

 「元気のない組織は、例えばあいさつが交わされない。逆に元気な組織は雑談も交われて騒々しい。会話の有無は組織の活力を測る1つの目安」――コーチングや組織活性のコンサルティングを行うビジネスコーチの那須ひろみ氏はこのように話す。

 同じような事業、プロジェクトを手がけているのに、うちはライバルに比べて活気がない――このように感じる組織は多いだろう。活力のない組織に共通する原因として、那須氏はマネジメント層、中間管理層、現場層それぞれの認識の違いがあると指摘し、認識のすれ違いが組織の閉塞感を生み、活力の低下を引き起こす。

 逆に活力のある組織に共通するのは、創造力と実行力が発揮される環境だという。各層が抱える課題を対話によって共通認識化することで、各層の行動目標が明確になり、創造力と実行力が備わるようになる。だが閉塞感の漂う組織では、対話の場を築くにしても「何から話し合うべきか」という課題がそもそも見えていないことが多い。

創造力と実行力の現実

 那須氏は、まず客観的な視点から組織の性質がどのようなものであるかを把握し、マネジメント層、中間管理層、現場層が心の内に抱える本音を明確にすることで、組織活性につながる対話の機会を作るようにアドバイスする。

 同社ではこれまで120社以上のコンサルティング実績から組織の創造力、実行力を診断する組織活性度診断システムをこのほど開発した。創造力と実行力には大きく12種類の因子が存在するとしており、マネジメント層、中間管理層、現場層向けに用意された設問の回答から、12種類の因子における各層の認識のすれ違いを明らかにする。

組織の活力を知るための12の因子

 この結果から、組織の性質として「活性型」「軍隊型」「評論家型」「停滞型」の4種類に分類できるという。活性型はすでに創造力と実行力を保有している。軍隊型は実行力が高いものの、創造力が乏しい。評論家型は創造力が高いものの、実行力が乏しい。停滞型は創造力と実行力が乏しいという具合だ。

 「強いて言えば、軍隊型はトップダウンの企業に多く、評論家型はベンチャー企業に多く見られる」(那須氏)。このような組織の性質を把握することで、次にマネジメント層、中間管理層、現場層それぞれの本音から活性組織に必要な具体的な課題を見つけるステップへと移る。

匿名がカギ

 多くの組織では、事業年度内に何度か行われる上司との面談や「360度評価」のような機会に業務や組織環境についての考えを表明することができる場合がある。だが「対面の場で本音を打ち明けることができる人は少ない。それよりも匿名で自由に意見を出せる機会を作り、多くの意見を並列にすることで組織の課題が見えてくる」と那須氏は説明する。

 組織活性度診断システムでは、自由回答形式で組織に対する意見から社員自身のキャリアへの不安、福利厚生への不満にいたるまで、マネジメント層、中間管理層、現場層それぞれの「本音」を集計することができるという。

 これまでに診断を行った中には、経営ビジョンや事業目標を徹底できないと悩む経営者や管理職の本音、キャリア形成について部下にアドバイスできないという管理職の不安、評価基準や同僚に対する現場の不満など、さまざまな本音が聞かれた。「思いもよらない回答が、実は組織停滞の原因になっていることも多い」(那須氏)といい、明らかにした本音から各層の意識のすれ違いが実態像として浮かび上がってくる。

組織の性質をつかみ、各層の“ホンネ”から活性化のための具体的なアクションを固める

 これらの方法で組織の性質と意識のすれ違いを「見える化」し、コミュニケーション環境の改善や各層での意識改革、さらには人事評価など社内制度の改革にいたるまで、組織活性に必要な具体的な実行プランを作成して着実に進めることが組織活性の最終的な仕上げとなる。「自身の組織が内包する問題を明らかにするだけでなく、例えば活力のある組織と活力のない組織に同じ診断を行って、その結果の比較から全社規模で活力を高める方法も分かる」(那須氏)

 組織活性度診断システムは原則として恒常的な組織の対象としているもの、診断対象となる層をカスタマイズできるため、何年間に及ぶような長期間のITプロジェクトのような組織形態でも、活性化の指針となる診断が行えるという。

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