日本オラクルが動いた――2006年10月にOracleが発表したLinuxのサポートプログラム「Oracle Unbreakable Linux」をとうとう国内でも9月1日から提供することを明らかにした。
夏も終わろうとしている8月30日、日本オラクルが動いた――2006年10月にOracleが発表したLinuxのサポートプログラム「Oracle Unbreakable Linux」を国内でも9月1日から提供することを明らかにした。
まずは発表されたOracle Unbreakable Linuxサポートプログラムについて解説しよう。
同サポートプログラムは、大別すると「Enterprise Linux Network Suppor」「Enterprise Linux Basic Support」「Enterprise Linux Premier Support」の2つに分けられる。提供する内容と価格は以下のとおり。
プログラム名称 | 2CPU時の価格 | CPU無制限時の価格 | 提供内容 |
---|---|---|---|
Enterprise Linux Network Support | 1万2400円 | 1万2400円 | パッチの提供 Unbreakable Linux Networkの使用 |
Enterprise Linux Basic Support | 4万9900円 | 12万4900円 | 上記に加え、24時間365日の技術問い合わせ |
Enterprise Linux Premier Support | 14万9900円 | 24万9900円 | 上記に加え、バックポート修正の提供、Oracle製品と同等のライフタイムサポートポリシーを適用 |
Unbreakable Linux Networkは、ソフトウェアの修正版やパッチなどを入手するためのもので、Red HatでいうRed Hat Networkに相当する。
Enterprise Linux Basic Support以上のサポートプログラムを締結した顧客は、「Oracle Enterprise Manager 10g」をベースとした包括的な管理ソリューション「Oracle Management Pack for Linux」の利用権が与えられる。同製品は、Linuxのパッチ管理、状態監視、構成管理、プロビジョニングなどの管理だけでなく、OSからデータベース、アプリケーションサーバなどの一元管理までも可能にする運用管理製品だ。
現時点でサポートプログラムの対象となるのは、x86およびx86-64版のRHEL 3 Update 8以降、RHEL 4 Update 3以降、RHEL 5。Itanium、Power、z/Linuxアーキテクチャはサポート外となる。また、RHEL WSはサポート対象外。
現在RHELを利用していない場合は、RHELと互換性のあるLinuxを「Oracle Enterprise Linux for x86/x86-64」として提供する。こちらはOracle Enterprise Linux 4およびOracle Enterprise Linux 5が用意されている(Oracle E-Deliveryから入手可能)。
なお、今回の発表に伴って、同社が2002年に発表している従来の「Oracle Unbreakable Linux」は終了となった。また、あまり話題に上らなくなったとはいえ、Linux関連での知的所有権にかんする訴訟からも保護するという。
日本オラクルではOracle Unbreakable Linuxサポートプログラムの提供に併せ、「1st Line Support Model」「Value Add Model」という2つのパートナー販売/サポートモデル、さらに、Linuxカーネルの品質向上を目的としたサポートセンター「Enterprise Linux Joint Support Center」の設立も発表している。
1st Line Support Modelは、パートナー企業各社がOracle Unbreakable Linuxを、販売、サポートするモデルで、Value Add Modelは、すでにパートナー企業各社が提供しているRed Hat Enterprise Linuxを対象としたLinuxサポートに「Oracle Unbreakable Linux」サポートプログラムの一部またはすべてを付加して提供するもの。
さらに、Oracle Certification Programの一環として、新たな認定資格「Oracle Expert Program:Managing Oracle Database on Linux Certified Expert」を2007年10月から順次開講することが発表された。同研修コースは、Linuxの基礎および管理、そして、Linux版Oracle 10gのDB構築と運用という3つのコースが用意され、最長4日間の研修となる。
さらに、「Oracle GRID Center」でこれまでも実施してきた大規模Linux環境におけるさまざまな検証は継続して行われ、その結果としてのベストプラクティスや事前検証済みの最適なシステム構成(Oracle Validated Configurations)の開示を進めていくという。
Oracle Unbreakable Linuxの国内展開において、その動向が注目されていたミラクル・リナックスは、同サポートプログラムについて、バックエンドのサポートを提供していくことを表明した。同社は“Better Than Red Hat”を掲げたAsianux Server 3のリリースを間近に控えているが、共生の道を選択したようだ。
同社は、上述したEnterprise Linux Joint Support Centerへ参画し、日本オラクルからOracle Unbreakable Linuxサポートプログラム業務を一部受託、Linuxの重大な障害に対するサポートを提供する。
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