Webアクセシビリティ診断機能を搭載した「やさしいブラウザ」が登場

インフォ・クリエイツはWebページの拡大表示や音声読み上げを行う「やさしいブラウザ」の最新版を公開。Webアクセシビリティの診断機能が搭載された。

» 2007年09月04日 19時01分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 インフォ・クリエイツは9月4日、Webページの拡大表示や音声読み上げ機能を搭載する「やさしいブラウザ」の最新版を公開した。新たにWebアクセシビリティのレベルを簡易診断する機能など、サイト管理者向けの機能が搭載された。

 やさしいブラウザは、日本IBMが開発したAjaxを利用するWeb閲覧支援ツール「らくらくウェブ散策」をベースに、インフォ・クリエイツが独自機能を追加してASPとして提供するもの。これまで自治体や官公庁を中心に、民間企業ではキヤノンやコスモ石油などが導入。70サイトで提供されている。

やさしいブラウザの利用イメージ(同社サイトより)

 ユーザーは、同サービスに対応したサイトからプラグインを入手して、Internet Explorer(5.5以降に対応)にインストールする。インストール後は、対応サイトにある文字や画像の拡大表示、速度調節の可能な音声読み上げ機能を利用でき、色覚障害に対応して背景色と文字色も変更できる。

 最新版ではサイト管理者向けの機能を搭載し、JISに基づくWebサイトのアクセシビリティの簡易診断、グレイスケール表示、音声読み上げ時の文字の順番を表示する「リニアライズ」機能が追加された。

 アクセシビリティ診断では、JISのアクセシビリティ基準から多言語対応の状況やページタイトルの有無、HTML構文の誤り、画像情報(代替テキスト)の有無など12項目を診断する。サイト管理者には該当箇所を通知し、デザインやページ構造の改善などを促がす。

 グレイスケール表示では、暗いトーンの配色された画像の見やすさを確認できるほか、リニアライズ機能ではレイアウト通りに音声読み上げが行われるかどうかを確認できる。

政令指定市のWebアクセシビリティ基準の未達成度のランキング。1位は札幌市で、逆に達成度が高いのは広島市となった

 同社が実施した2006〜7年度調査として、47都道府県と政令指定都市のサイトのアクセシビリティ診断結果も合わせて公開された。この調査は各サイトのJIS基準への適合状況を調べたもので、「ページ不良率」(多言語対応の有無、ページタイトルの欠落など)では静岡県がワースト1位となった。逆に最も適合率が高いのは秋田県となっている。

加藤均社長

 加藤均代表取締役社長は、「静岡県はベスト5に入る項目もあり、問題のある部分を改善することでアクセシビリティの飛躍的な向上が期待される。順位を競うものではないので、利用しやすいWebサイト作りのために活用していただきたい」とコメントした。

 やさしいブラウザの利用料は、対応ページ数が300ページ以下の場合で初年度が年間20万円、次年度以降は年間10万円。対応ページ数が301ページ以上の場合は個別見積りとなっている。

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