ITエンジニアの“寄せ餌”はブログだ有能社員をとらえよ、手放すな! デキる逸材の「獲得術」(2/2 ページ)

» 2007年09月10日 06時00分 公開
[アイティセレクト編集部]
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ギブアンド“モア”テイク

 ブログに書かれているのは、あくまでも企業秘密にする必要のない情報。「データベースを高速化するテクニック」といったものだ。ITエンジニアの間では、こうした要素技術は、成し遂げるのに1日かかるか1週間かかかるかという違いはあるものの、研究すればだれにでもできるという共通認識がある。従って、秘密にするほどのことではなく、結果的にサービスを支える技術力の差として表れることもないという。

 「ミクシィの強みや独自性は、(仮に1週間かかりそうなことを1日でできるといった)7日間先んじていることではなくて、ミクシィならではの仕組みをたくさん持っていること。調べれば分かることを公開するデメリットはあまりなく、逆に公開して『こうしたらいいじゃないか』というフィードバックをもらうメリットの方が大きい。それは、7日間かけて調べても分からなかった部分なのだから」と、平林氏は説明する。

 つまり、分からないことをブログで公開し、読み手に“質問”することによってアドバイスを募り、解決するという側面を持った、「テイク」の大きい「ギブアンドテイク」ということである。

 こうしたことについては「広く知ってもらった上で議論した方が、より有益だ。それ故、出せる情報は極力出していった方がいい」と、平林氏は言う。というのも、「公開議論」によってさまざまな知見がフィードバックされ、それが逆に「有益な情報」として吸収できるからである。その「テイク」の比率は、「ギヴ」の何倍にもなるという。

 「情報はだれかが読んだからといって減るものではないので、基本的には『テイク』の方が大きい。ティップスをみんなで分け合っているようなものだ」(平林氏)

 ITの世界では、ITエンジニアによるブログが最先端の情報発信地となっているという。その情報をキャッチした後、一般のWebサイトをチェックすることが次のステップになっているとか。

 「(ブログ上で)最先端の情報(発信)をキープするのは大変。だが、それがキープできなくなった時点で最先端ではなくなる」(平林氏)――最先端のITエンジニアらによるブログに、優秀なITエンジニアが集まるゆえんということだろう。「類は友を呼ぶ」という図式がうまく機能している世界のようだ(「月刊アイティセレクト」10月号の特集「有能社員をとらえよ、手放すな! デキる逸材の『獲得術』」より。ウェブ用に再編集した)。

〔14日に続編を掲載予定〕

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