「プラットフォームの提供でSIerとの提携を強化する」とSalesforce スティール氏Dreamforce 07 Report

オンデマンドプラットフォームのForce.comを打ち上げたSalesforce.com。社長のジム・スティール氏に、その戦略を聞く。

» 2007年09月26日 17時48分 公開
[谷川耕一,ITmedia]

 Force.comという新たなブランドで、プラットフォームをサービスとして提供するSalesforce.com。このプラットフォームを提供する新たな戦略について、社長のジム・スティール氏は、次のように説明する。

 「Platform as a Serviceというのは確かに新しいソリューションではあるが、従来のCRMアプリケーションをSaaSで提供していたときから、われわれはプラットフォームを提供していた。それは顧客の要求に応じたカスタマイズという形であり、CRMのアプリケーションとプラットフォームをバンドルしたものだった。もっと自由に使いたいという顧客の要望を取り入れ、アンバンドルし開発ツールとAPIを今回提供することにしたのだ」(スティール氏)

ジム・スティール氏 Salesforce.com社長のジム・スティール氏

 新たにプラットフォームを用意したのではなく、従来の延長線上にあるものなので、技術的にも何ら不安はないという。

 IBMに所属していた時代に東京で4年間仕事をしていた経験を持つスティール氏は、日本のIT市場のことも良く理解している。先ごろPlatform Editionを導入した、ユーザー数世界最大規模の日本郵政公社の事例については、民営化を控えなるべく早く、なるべく低コストでアプリケーションを導入したいという顧客の要求に応えることができた結果だと言う。そして、このプラットフォームの戦略は、日本にこそ最適なものであるとも。

 「従来から日本は、ダブルバイトの要求があるためか、あるいは日本特有の要件なのかもしれないが、アプリケーションを購入しそれを利用するよりも、スクラッチで構築するという選択が多いところだ。プラットフォームのサービスは、そういったユニークな要求にも十分に応えられるし、費用と時間を節約することもできる。欧米よりも、むしろ日本に向いているサービスと言えるかもしれない」(スティール氏)

 プラットフォームを提供することで、パートナー企業との戦略も変化しつつあるという。AppExchangeの登場でISV企業とは積極的に提携し、700を超えるアプリケーションがすでにSalesforce.comのサービス上に載っている。日本でも24のISVが80のアプリケーションを提供しているとのこと。しかしながらSaaS型においては、SIerとの提携にこれまであまり積極的ではなかった。彼らにとっては開発の余地が少ないので、利益を上げられるビジネスが見出せなかったからだ。

 それが、Salesfoce.comの顧客も大規模な事例が増え、これまでMicrosoftやOracle、SAPしか見ていなかったSIerの視線が、Salesforce.comに向けられるようになっているという。

 「今後10億ドル、20億ドルのビジネスをする企業に成長していくためには、世界的な規模を持つSIerとの協業は不可欠なものだ」(スティール氏)

 プラットフォームのビジネスを拡大していくためには、SIerの持つ経験やスキルが頼りになるため、大いに利用したいとスティール氏。日本でもすでに、日立ソフトウェアエンジニアリング、新日鉄ソリューションズ、NTTデータなどと緊密な連携を始めているという。こういった取り組みは、今後さらに拡大するとのことだ。

 大きなSIerだけでなく、日本にはその配下にたくさんの中小規模のソフトハウスがある。そういったところに対してForce.comをもっと浸透させる必要があるのでは、という問いに対しスティール氏は、「Salesforce.comのプラットフォームの素晴らしいところは、インターネットの接続さえあれば、誰でもすぐに開発が始められるところ。1人でも2人でも規模は関係なく始められる」と言う。これに関連するのが、昨年発表されたインキュベータの成果だ。

 「インキュベーションセンターは、サンマテオにある旧Siebelが利用していたビルディングにある。今は、32のISVが入居している。彼らはアクセス料金といったものを支払うことで、われわれが用意しているツールや人材を利用できる。オープンな環境でコラボレーションしながら開発を行っており、成果もAppExchangeのアプリケーションとして出てきている」(スティール氏)

 インキュベーションの活動も、新興企業に対し大きな資金を提供するというものではなく、利用できるリソースを用意しそれを必要に応じて利用してもらうというもの。これもまた、オンデマンド型のインキュベーション活動といえそうだ。

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