1円端末はなくならない? ――KDDIが携帯電話購入プランを発表

KDDIは、11月12日から開始する携帯電話購入の新制度を発表。従来制度を改善したものと、端末価格を引き上げて通話料を抑えた方法を導入する。

» 2007年10月04日 20時38分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 KDDIは10月4日、携帯電話端末の新しい購入方法となる「au買い方セレクト」を発表した。新規契約および機種変更で購入する全端末を対象に11月12日から開始する。

 今回の発表は、携帯電話の事業モデルの見直しを進める総務省の「モバイルビジネス研究会」が公開した報告書を基に、KDDIが導入を検討をしていたもの。現行の販売制度は、携帯電話事業者が販売店に端末販売奨励金を提供。販売店は奨励金を原資に端末の値引き販売を行い、ユーザーは本来の製品価格よりも安く購入できる。だが、奨励金はユーザーの月額利用料に上乗せされる形でユーザーから回収され、こうした仕組みがユーザーにとって不透明に機能していたことから、モバイルビジネス研究会が是正を求めていた。

新しいKDDIの携帯電話端末購入のフロー

 新プランは、従来の販売モデルを改善させた「フルサポートコース」と、販売奨励金を適用せずに通話料を割り引く「シンプルコース」の2つで構成される。

 フルサポートコースでは、購入端末を2年間継続利用することを条件に、KDDIが一律2万円の購入支援を提供(実質2万円の割引)。残存期間内に解約できるが、残存期間に応じた解除手数料が必要になる。また、フルサポートコースではポイント制度が利用料金に応じて割り増しされる。現在は、100円=2ポイントだが、同コースでは月額5000円未満が同4ポイント、1万円未満が同5ポイント、1万円以上が7ポイントに引き上げられる。獲得ポイントを解除手数料に適用できる。

フルサポートコースでは、月の利用金額が高いヘビーユーザーほど契約解除時の負担が小さくなるという

 シンプルコースは、端末の購入支援がなく、利用期間の制限もない。同コースでは「シンプルプランS」と「シンプルプランL」の2つの料金プランが設定される。シンプルプランLの通話料は1分10円で、携帯電話の通話料金としては国内最安になるという。フルサポートコースの利用者は、契約期間終了後にシンプルコースへ変更できる。

料金プラン シンプルプランS シンプルプランL
月額基本料 1050円 2625円
通話料(1分間) 31.5円 10.5円
シンプルコースの料金(税込み)

 2つのコースを比較した場合、フルサポートコースは従来通り端末の購入価格が安くなるが、通話料金は据え置かれる格好となる。販売奨励金としてユーザーに告知されてなかった部分が「購入支援」としてユーザーに明示される。契約期間が2年間に及ぶが、月額の利用料金が多いユーザーほど、ポイントを利用することで解約時の負担を軽減できると同社では説明している。

 一方、シンプルコースは1つの端末を長期間利用するユーザーに配慮された方法という位置づけだ。既存の販売制度では、ユーザーから徴収される奨励金回収分が利用期間に関係なく課せられているため、同じ端末を長く使うユーザーほど、短期間に機種変更するユーザーより多く支払う形になることが問題視されている。同コースでは、端末の購入価格が現行よりも高くなるが、奨励金回収相当の金額が通話料金から差し引かれるため、長期間利用では結果的に利用しやすいものになるという。

 KDDIでは、同時にアフターサービスおよび特別会員サービスのポイント制度の拡充を発表した。

 アフターサービスでは、新たに月額300円の会員サービス「安心ケータイサポート」を開始する。このプランでは、端末の利用期間が1年を超えた場合に電池パックのサービスや、無故障の場合に1000ポイントが提供される。また、保証期間が延長され、修理代金も無料になる。

名称 一般 安心ケータイサポート
料金 無料 月額300円
保証期間 3年 5年
保証外の修理費支援 5000円相当まで無料 すべて無料
全損時の修理費支援 1万円 5000円
盗難などでの買い替え(シンプルコース) 5000円 1万円
フルサポートコースで購入した端末を紛失した場合の解除料は、一般の場合が最大1万円、安心ケータイサポート会員は全額免除となる。
アフターサービスの比較

 特別会員サービスの「auプレミアメンバース」では加入から1年ごとに200ポイントが提供されているが、11月12日以降は利用期間が5〜7年の場合500ポイント、8〜9年の場合800ポイント、10年超の場合は1000ポイントに引き上げられる。

高橋誠常務

 新制度について説明を行った高橋誠常務は、「販売奨励金制度は携帯電話普及の起爆材になったが、機種変更は中心の今の市場ではユーザー間に不公平さを生み、またユーザーに不透明な部分も多く、不安を与えているものと認識している」と述べた。

 一方で「直ちに販売奨励金を全廃すれば、端末流通に混乱が起きる。新制度の動きを注視しながら今後の展開を検討したい」とも話し、段階的に販売奨励金の廃止を進めていく考えを明らかにした。さらには、製造コストを引き下げたローエンド端末の拡充や、契約期間や利用金額の多様化なども検討していくという。

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