次にAdobeのエンジニアリングマネジャー、アンドリュー・シェバナウ氏がステージに登場し、ファイル共有を容易にする新サービス「Share」をデモした。Shareではユーザーに1Gバイトのストレージを提供するが、「ただのオンラインストレージではなく、FlashPaperを大きくしたようなものだ」と同氏は語った。
またShareはREST(representational state transfer) API一式を提供する。Share APIを使えば、文書のアップロード・ダウンロード、文書のURLとしての共有、文書の許可設定、文書サムネイルの取得、Flashベース文書のプレビューなどができると同氏は説明する。
「非常に興味深いマッシュアップが可能になる」(同氏)
Shareは現在β版で、2008年に正式版になる見込み。
その次のサービスのデモはAdobeのエンジニアリングマネジャー、ダニエル・デーブラー氏が行った。同氏がデモしたのは、高品質の音声機能、メッセージング機能、プレゼンス機能をFlashやFlexのアプリケーションに統合できるサービス「Pacifica」だ。
同氏はAdobeのエンジニア、ドミニク・サゴラ氏とライブビデオセッションをしながらPacificaサービスを披露した。サゴラ氏は、この技術にPacificaという名を付けたのは、同氏とそのチームのメンバーがサーファーであり、カリフォルニア州パシフィカが特にビギナーにとってサーフィンに適した場所だからだと語った。「だからわれわれは、Pacifica 1.0を考えていた」
「インターネットでこの素晴らしい音声の波に乗るつもりだ」(同氏)
Pacificaの最初のバージョンは、高品質の音声チャット、テキストインスタントメッセージング、プレゼンス機能、NAT(Network Address Translation)/ファイアウォールトラバーサル、AJAX、HTML、Flash、Flex機能を備えるとデーブラー氏は語った。
来年にはビデオチャット、P2P、Adobe AIRサポート、PSTN(公衆交換電話網)アクセス機能を追加する計画という。
「わたしにはかなりSkypeに似たものに思える」とZapThinkのアナリスト、ロン・シュメルツァー氏は言う。
Pacificaの非公開βテストは10月に開始され、Pacificaチームは「音声コンポーネントが必要なエキサイティングなRIAを持っている開発者」を求めているとデーブラー氏は語った。チームのメンバーも募集しているという。
Adobeのソフトウェアエンジニア、ナイジェル・ペッグ氏は、「CoCoMo」サービスを披露した。CoCoMoは、Adobeの最も成功したホスティングサービスの1つ、Web会議サービス「Acrobat Connect」(旧称「Adobe Breeze」)をベースにしていると同氏は語った。
CoCoMoは画面の共有やホワイトボードアプリケーションなどのリアルタイムコラボレーション機能を統合するためのサービス。
「過去1年半の間、Connectの新バージョンに懸命に取り組んできた。FlexのクライアントUI全体を作り直し、それがUIコンポーネント一式になっている」(同氏)
CoCoMoは、リアルタイムデータメッセージング、リアルタイムAVストリーミング、ユーザーIDのプレゼンスと許可、リアルタイムのファイルの公開とコラボレーションのためのAPIにサービスとして接続するという。
「見ての通り、これらサービスでは素晴らしい成果が上がっている――すべてライブコードを走らせている。これは始まりにすぎない」(リンチ氏)
この日のスニークピークセッションで、リンチ氏らはFlash PlayerのVoIP技術、Photoshopのオンライン版「Flash Home」、Flex on Linux、Flash on C/C++、Flash新版「Astro」などの新技術を多数披露した。
また同氏は、AdobeはITビジネスのバックエンドの部分を開拓することに取り組んでいるとも語った。
「ビジネスロジックは何度も書き直されている。だからわれわれはそうしたパターンの幾つかをソフトに組み込もうとしている。われわれはこの機能をサーバサイドロジックの最善の再利用と見なしている」(同氏)
最後に、Adobeのエンジニアのスティーブン・ウェブスター氏は、同氏が言うところの「リッチなフロントエンドに向けた」バックエンドサーバ「Adobe LiveCycle ES」をデモした。「RIAへの投資を、LiveCycle ESで『プラットフォーム化』することで次のレベルへと引き上げられる」
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