問題コントロールとエラーコントロールは、すでに発生したインシデントへの対策であり、いわばリアクティブ(受身的)な活動である。問題管理においては、インシデントのトレンド分析を行ったり、ハードウエア/ソフトウエアベンダが提供する情報を元にしたりして、将来発生するであろうインシデントをプロアクティブ(積極的)に予防する活動こそが大事である。プロアクティブな問題管理が進むと、結果的に発生するインシデントの数が減り、リアクティブな活動も減る。IT運用部門の残業は減り、余った時間でさらにプロアクティブな活動を行える。また、IT運用部門への信頼も向上し、ITサービスへの期待がさらに高まって、より多くのIT投資が得られるかもしれない。ITサービスが成熟すればそれだけビジネスへの貢献度が増し、ビジネスそのものが成熟することは間違いない。プロアクティブな問題管理こそ、問題管理の真髄である。
問題管理がうまくいっているかどうかを評価するためのKPI(重要業績評価指標)には、次のようなものが考えられる。
問題管理が成熟すると、インシデントの総数やITサービスのダウンタイムが減り、結果的にビジネスに対するITサービスの貢献度が向上する。IT運用部門は日々の火消し作業から解放され、インシデントの予防策により注力できるようになる。つまり良いことずくめなのだ。
そのためには、いままで紹介したサービスデスク、構成管理、インシデント管理がしっかりしている必要がある。ITILの各プロセスは、密接に関係しているのだから。
※本連載の用字用語については、ITILにおいて一般的な表記を採用しています。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.