Business Objects顧客を誘惑するCognos

Business ObjectsがSAPに買収されることに不安を持つ顧客を獲得しようと、Cognosは乗り換え顧客を取り込むためのプログラムを検討している。

» 2007年10月10日 15時27分 公開
[Michael Hickins,eWEEK]
eWEEK

 米ビジネスインテリジェンス(BI)ソフトベンダーCognosが、仏Business Objectsが独SAPに買収されるというニュースに動揺している顧客に秋波を送っている。

 Business ObjectsはSAPに約67億8000万ドルで買収される。

 この取引を受け、残った数少ない純粋なBI企業であるCognosも近く買収の対象になるという憶測が流れている。

 もっと重要なのは、この買収により、BI顧客が現在契約しているベンダーともっといい条件を交渉する武器を得られるかもしれないということだ。

 Cognosは既に、製品の重複やロードマップに関する顧客の不安につけ込もうと攻勢に出ている。

 歴史上の多くの妖婦のように、Cognosは他者の内部の問題に機会を見出している。SAPとBusiness Objectsの統合が完了したら、両社はプランニング、報告、ダッシュボード、スコアカード、分析のための数十のアプリケーションの重複を合理化しなければならず、顧客は自分が使っているツールのサポートが継続されるのか、それともツールを捨てなければならないのかという疑問を抱いている。

 Cognosは既に、Business Objectsからの乗り換え顧客を取り込むための正式なプログラムを検討していると同社のマーケティング戦略責任者ミシェル・モロト氏は語る。「これは、ある企業がこのような買収を行う際に、当社が目を向けるたぐいのことだ」

 もちろん、雌のガチョウに合うソースは雄のガチョウにも合う。SAP自身も買収ターゲットの顧客に接近した経験があり、PeopleSoftがOracleに買収された後に、PeopleSoft顧客に同じことをした。

 モロト氏は、SAPとBusiness Objectsは製品の統合に何年もかけざるを得ないだろう――同氏はこの作業を配管設備を正しく配置するようなものだと例えた――が、その間に、Cognosは自由に革新を続けられると同氏は言う。

 Business Objects買収は、「SAPのBIおよびパフォーマンス管理の戦略が成功していないと認めたことになる」と同氏は指摘する。

 SAPはもちろん、違う見方をしている。Business Objectsとの製品ポートフォリオの統合により、SAPは「ほかの誰よりも」BI分野をカバーできるとSAPのヘニング・カガーマンCEOは買収発表の会見で述べていた。

 SAPはまた、この買収によりSMB(中小企業)分野での地位が向上し、プラットフォーム事業が強化されることも見込んでいる。

 Cognos自身も今年、BI分野で小規模な買収を2件行っている。9月にはApplixを3億3900万ドルで、1月には買収額は公表していないがCelequestを買収すると発表した。

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