NovellにOpenOfficeをフォークさせる意図なしTrend Insight(2/4 ページ)

» 2007年10月12日 02時40分 公開
[Bruce-Byfield,Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine

批判

 ミークス氏による批判を実際に見聞きすると、そのようなうわさが出るにしては驚くほど穏便な内容に思えるはずだ。

 ミークス氏によると、NovellにはSunとの協力関係を絶つつもりはないようだ。ミークス氏は既存アプリケーションのバグ修正や改訂に言及して「われわれの貢献範囲は、自分たちがOpenOfficeのコアと見なすコードのうち半分以上におよぶ」と述べている。また彼は「(最近になって)Sunのコミュニティーへの対応は非常に良くなってきている」ことも認めている。これについては、彼の言う技術検討委員会の設置のような改善項目が「ずっと素早い方針転換」をもたらしたことに触れ、「こうした取り組みはあるレベルでは非常に有望だ」と述べている。

 ミークス氏が懸念しているのは、とりわけ成果物の共同著作権化によってOpenOffice.orgプロジェクトの支配を狙うSunの思惑がOpenOffice.orgにとっての最善の形とはますます一致しなくなっていることだ。「以前と違うのは、今やSunがまったく関与しないところで書かれたコード(1行たりともSunが貢献していないコード)が存在する点である。われわれはこうしたコードをOpenOfficeに採り入れたいと思っている」(ミークス氏)。だが、現状のプロジェクトの組織体制下では、こうしたコードは必ずプロジェクトの外側に置かれたままになる。

 ミークス氏はこの状況がエンドユーザーの不利益になるとも述べているが、彼が最も懸念しているのはプロジェクトへの貢献を希望する開発者のことである。「これはひどい話だ。個人の開発者にとっては自らのコードの採用こそがある程度の栄誉になるからだ。せっかく多くの時間をかけて生み出したものなのに、Sunに譲り渡さなければOpenOfficeには採り入れられない(きわめて露骨な言い方だが要するにそういうことだ)といわれるのだから、少なからず動揺するのも無理はない」。ミークス氏にとっては、個人の開発者がOpenOffice.orgのような大きなコードのビルドやパッチ当てで直面するあらゆる苦難を乗り越えた後にそうした問題が起こることや、ただSunが支配権を維持しようとするがためにプロジェクトが既存の成果物を作り直すのにリソースを無駄使いすることが特に耐えがたく思えるようだ。

 こうした状況は技術的な問題を生み出すだけでなく、OpenOffice.orgコミュニティーの形成をも妨げている、とミークス氏は示唆する。「力の弱い組織や、Sunの影響力がおよばない個人には何らかの保護が必要だ」

 そればかりか、このような権力の不均衡は参画意識の醸成も難しくする。彼は、GNOMEでの作業を振り返って「場合によっては、勤務先を変えて同じ仕事を続ける人々もいた」と述べている。その一方で、「OpenOfficeプロジェクトに属したいとはあまり思わない。1つの組織による支配があまりに強く、勤務先に対するもの以上の忠誠を捧げようとはなかなか思えないからだ」とも彼は語る。

 ミークス氏は奇跡を期待してはいない。「程度の差こそあれ、すべてがおかしくなっている。わたしは能力主義の世界、実際にコードの管理および保有を行える統治体制を伴ったある種の財団法人があればよいと思っている。コードの所有権の統一を明言するものが存在するのであれば、わたしのコードを財団に譲渡しても構わない」

 その一方で、お役所的な効率の悪さを埋め合わせるために、ミークス氏はgo-oo.orgを、Sunに譲渡されていないOpenOffice.orgコードの情報センターとして利用しようとしている。

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