「検索=Google、Yahoo!」の牙城は崩れるか――次世代検索の在り方 Weekly Access Top10

「検索=Google、Yahoo!」といった図式は、次世代には通用しないかもしれない。

» 2007年10月13日 07時00分 公開
[藤村能光,ITmedia]

 今週の第1位は“ヘンタイゲーム”で誘うスパム、添付ファイルにマルウェアだった。思わず開いてしまいそうになるスパムだが、注意が必要だ。

 「今検索市場がアツい!」――記者は実感している。検索といえば、Yahoo!やGoogleを連想する人は少なくない。これらの企業が提供する検索エンジンは、Web上のありとあらゆる情報をつかむことができる可能性をユーザーに提示した。今や情報収集に検索エンジンを使うことは避けて通れなくなっている。

 米comScoreが発表した世界検索エンジンの利用調査によると、今年8月中でGoogleは全検索回数の実に60.8%に上る約370億9400万回という世界最大の月額検索利用を記録した。約85億4900万回を獲得した2位のYahoo!と合わせて、実に検索サービスの4分の3弱を2社の検索エンジンが占める結果となった(関連記事参照)

 しかし、キーワード検索の1ユーザーとして、「求めている情報に一度でたどり着くのは難しい」ことを最近よく感じる。

 情報大航海プロジェクトをご存じだろうか。情報の検索/解析技術の開発と、それらを用いた事業を実証する経済産業省主導の国家プロジェクトだ。

 “検索”や“日の丸検索エンジン”といった言葉をメディアが持ち上げることが多いせいか、「Googleに対抗できる検索エンジンを開発するプロジェクト」ととらえる人も少なくない。

 確かにそういった側面もあるが、それだけにとどまらない所がこのプロジェクトの肝。目的は、個人の生活やビジネスなどあらゆる局面での情報基盤を作ることにある。Web上におけるキーワード検索はもとより、ICカードやETC(自動料金収受システム)、健康管理といったさまざまな用途への技術転用が期待される。

 大盛況のうちに幕を閉じたITおよびエレクトロニクスの総合展示会「CEATEC JAPAN 2007」。展示ブースの1つに情報大航海プロジェクト関連のものがあった。

 そこでは、色や形態といったキーワード以外の要素から求める情報を集めたり、映像や楽曲をクエリー(検索情報)とし、「動画像」と「音」の要素からそれに類似した映像や楽曲を収集するといった取り組みが公開されていた。

 いずれも、マウスクリックやリモコン操作など、簡単で直感的なユーザーインタフェースから検索できるのが特徴だ。これらを見ていると、携帯電話がここ20年の間で通信におけるデファクトスタンダードとなり、固定電話が衰退していったかのように、検索分野において、キーワード検索も同じような道をたどるかもしれないなどと杞憂してしまう。

 2007年6月に中国の大手検索エンジン百度(Baidu.com)の社外取締役に就任した元ソニー会長兼CEOの出井伸之氏は、自著で「(これからの時代には)検索の仕方も変わってくる。新興IT企業の象徴であるGoogleも、今のような圧倒的な存在でいられるかどうか分からない。Googleという会社は残っているとして検索サービスにおける主導的な役割は、もっと新しい技術が担っている可能性がある」と語る。

 検索は、これまでのキーワード検索を超えて、新たなフェーズに上ろうとしている。それと同時に、検索に対するわれわれユーザーの期待と要望は広がるばかり。GoogleやYahoo!の牙城を崩すような、革新的な検索トレンドが国内外から生まれることを期待している。

関連キーワード

検索 | Google | 検索エンジン | Yahoo! | Baidu(百度)


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