加速するIBMのInformation on Demand戦略IBM Information on Demand 2007 Report(1/2 ページ)

ラスベガスの「Information on Demand 2007」でIBMは、情報を解き放ち、顧客に真のビジネス価値をもたらすInformation on Demand戦略をさらに加速すべく、一連の製品群を発表した。

» 2007年10月17日 07時00分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 24時間眠ることのないカジノの街、ネバダ州ラスベガスでIBMが情報活用のための包括的なソリューションを披露した。

 米国時間10月15日、「IBM Information on Demand 2007」が開幕した。昨年初めて開催された同グローバルカンファレンスは、カリフォルニア州アナハイムからラスベガスのマンダレイホテルへと会場を移し、参加者が6500人に膨れ上がった。早朝からホテルのアリーナで行われたオープニングの基調講演には、IBMのソフトウェア事業を2000年から統括しているスティーブ・ミルズ上級副社長が登場し、顧客やパートナーらに「Information on Damand」戦略や、それに基づく製品やソリューションを売り込んだ。

足かけ8年もIBMのソフトウェア事業を率いているミルズ氏

 「顧客企業は、メインフレームやミニコン、クライアント/サーバ型システム、そしてWebに至るまでの30年間、実にさまざまな技術に投資してきており、それらは今も稼働している。彼らは、既存のIT資産や情報資産を統合し、新しい価値を引き出すことが求められている」とミルズ氏。

 これまでの情報活用といえば、基幹業務システムからデータを抽出し、ほかの用途に使えるように蓄積するデータウェアハウスが主流だったが、それらは構造化されたデータに限られていた。

 しかし、CRMのような新しいアプリケーションが導入されると、そのたびに新しいデータモデルがつくられてしまうし、PCやインターネットが遍在化したことで新しいタイプのデータも溢れかえっている。企業は、そうした構造化されていないデータの分析や活用を避けては、業務の効率化が図れなくなっている。かつてIBMがDB2を拡張した製品をリリースして、いち早くコンテント分野の開拓に乗り出したのにも、そうした背景がある。

情報を解き放つInformation on Damand

 IBMは2005年、アプリケーションやデータベースなどに縛り付けられていた情報を解き放つことで、業務プロセスの改善を自在にし、顧客に真のビジネスの最適化をもたらす「Information on Damand」戦略を打ち出した。

 IBMのソフトウェアグループは、5万人が従事し、約200億ドルの売り上げを誇る世界第2位のソフトウェアベンダーだが、それでもさらにInformation on Damand戦略を補完する製品や技術の買収にも余念がない。

 2005年にETL(Extraction, Transformation and Loading)ツールのAscential Softwareや、マスターデータ管理のDWLおよびTrigo Technologies、あるいは身元分析のSRDなどを買収、2006年に入るとプロセス指向のエンタープライズコンテント管理で知られるFileNetを傘下に収め、2007年にはデータの変更情報をリアルタイムに配信するDataMirrorやデータ保護のPrinceton Softechもポートフォリオに加えた。

 ミルズ氏は、「企業の内外に重複して散在するさまざまなタイプのデータをつなぎ合わせ、コンテクストに沿った適切な情報とし、適切な人がアクセスできるようにしておけば、企業にとってそれこそが競合上の差別化要素となる。われわれは単にデータベースを提供するだけではない。われわれには、他社に並ぶものがない、真のインフォメーション管理のための広範なポートフォリオがある」と話す。

 積極的な買収によるポートフォリオの拡充が奏功し、2004年までは伸びが1桁台だった同社のインフォメーション管理分野の売り上げも、2007年には前年同期比で20%近い伸びを示す四半期が続いているという。IBMは旧来の単なるデータ保管という殻を破り、ゲームを変えようとしているのだ。

「データ」「コンテント」、そして「インフォメーション」

 ミルズ氏の下、Information Management部門を率いるアンブッシュ・ゴヤールGMは、単に構造化されたデータを保管するデータベースだけでなく、電子メールやオフィス文書のような構造化されていないコンテントの管理や、それらを分析し、情報として活用する手法にも焦点を当てるInformation on Damand戦略を推進する。

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