加速するIBMのInformation on Demand戦略IBM Information on Demand 2007 Report(2/2 ページ)

» 2007年10月17日 07時00分 公開
[浅井英二,ITmedia]
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 この日の基調講演でも、「データ」の領域でIBM DB2 9.5、通称Viper 2を発表したのはもちろん、「コンテント」ではIBM Content Management 8.4、「インフォメーション」プラットフォームでも「IBM Information Server」の最新バージョンなど、多くの新製品をゴヤール氏は発表した。

昨年からInformation Management部門を率いるゴヤール博士。チェスの世界チャンピオンを負かしたスーパーコンピュータ、DeepBlueのプロジェクトを指揮した経歴を持つ

 中でもInformation on Damand戦略のカギを握るのが、インフォメーションプラットフォームだ。同社がここ数年、熱心に買収してきた製品群もこの領域に集中しており、それらは、ETLのような「インフォメーションインテグレーション」とマスターデータ管理のような「インフォメーションアクセス」という2つの基本的な製品ラインに分類できる。

包括的なデータ統合のためのInformation Server

 前者は、包括的なデータ統合のためのプラットフォームであるIBM Information Serverに統合され、今回はメインフレームであるIBM System zへの対応やSAP R/3のサポートのほか、7月に買収したDataMirrorの機能を緊密に統合する。

 かつてアプリケーションサーバが、トランザクションモニタリングやJava、JDBC、メッセージング、ロードバランシング、そしてセキュリティなど、さまざまな機能要件が乱立したミドルウェアレイヤを統合したように、データ統合に関するさまざまな機能をまとめる新たなインフォメーションサーバ市場が形成されるとゴヤール氏はみている。

「最初のSOA製品」、Master Data Management Server

 一方、後者はWebSphere Customer CenterやWebSphere Product Centerを経て「Master Data Management Server」に統合されようとしている。この日、βテストプログラムが開始され、製品版は来年第1四半期にリリースされるという。

 顧客データは従来、アプリケーションごとに散在し、全社の資産として活用することが難しかった。同一の顧客も別々にしか把握できず、顧客のニーズも理解できない。これでは、SOAベースで業務プロセスの改善を進めようにもちぐはぐなままだ。データの統合は、プロセスの統合とともにSOAアプローチの両輪をなすもので、IBMではMaster Data Management Serverをデータに関する「最初のSOA製品」と呼ぶ。

 「200の顧客がMaster Data Management Serverで顧客マスターの統合に取り組んでいる。正確で完全で一貫性のあるマスターデータに基づいて業務プロセスを最適化できるようになる」とゴヤール氏。

Viper 2ベースのDB2 Warehouse 9.5

 また、データウェアハウス製品も、IBM DB2 Viper 2をベースとした「IBM DB2 Warehouse 9.5」が発表されている。信頼性を高めたほか、OLAP(OnLine Analytic Processing)の機能や構造化されていなテキストデータを分析する技術である「UIMA」(Unstructured Information Management Architecture)を組み込む。

 IBMはデータやコンテントからビジネスにとって価値のある「情報」を引き出す一連の製品群をデータベースおよびコンテント管理の製品群と組み合わせることで、旧来の単なるデータ保管という殻を破り、情報を解き放ち、新しい価値を顧客に提供しようとしている。

 ゴヤール氏は、これまでのデータベースやコンテント管理ツールの情報は、「Information at Rest」(停滞した情報)であり、これに対して、Information on Demandは、解き放たれた「Information on Motion」(動いている情報)をもたらすと話す。

 「Information on Demandは、単なる技術戦略ではなく、ビジネス上の価値を提供する戦略。コストを下げると同時に業務プロセスのスピードを高め、新しい価値を顧客にもたらす」(ゴヤール氏)

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