データセンターいらず? IBMが100ボルト電源対応のブレードシャーシを発表

日本IBMは、SMB市場に向けてブレードサーバ用シャーシ「IBM BladeCenter S」を投入すると発表した。

» 2007年10月22日 19時20分 公開
[伏見学,ITmedia]

 日本IBMは10月22日、SMB(中堅・中小企業)および支社などの分散拠点を持つ大企業向けに、100ボルト電源に対応したブレードサーバのシャーシ(筐体)「IBM BladeCenter S」と、同製品をオフィス環境でも設置できるようにするための専用小型ラック「IBM BladeCenter オフィスレディーキット」(以下、オフィスレディーキット)を発表した。

「IBM BladeCenter S」 新たに発表されたブレードサーバ用シャーシ「IBM BladeCenter S」

 BladeCenter Sは、最大6枚のブレードサーバ、最大4個のLANスイッチモジュール、最大12台(9Tバイト)までのディスクストレージモジュールを内蔵する統合製品で、従来のファイバチャネルストレージをSASで実現した。ディスクは任意でサーバに割り当て可能で、ユーザーはSAS設定画面で各ディスクがどのサーバにマッピングされているかを視覚的に把握できる。設定パターンは同社でテンプレートを用意しているので、不慣れなユーザーでも設置が容易だという。

 基本コンセプトは従来のBladeCenterシリーズを継承しており、共通のイーサネットスイッチや管理機能などが利用できる。一方、コンパクトかつコスト節約を実現したことで、データセンターを持たないSMBでもオフィス内で同等のシステム環境を構築できるようになった。

BladeCenter Sの前面BladeCenter Sの背面 「IBM BladeCenter S」の前面と背面

 オフィスレディーキットの開発目的は、データセンターの機能をオフィス環境でより安全に実現することである。BladeCenter Sを1台搭載でき、内蔵したエアフィルタによってほこりなどの侵入を防ぐほか、静音装置で通常63デシベルのシステムノイズを通常会話レベルの60デシベルまで低減できる。会場ではキット未装着のBladeCenter Sが稼働していたが、ノイズはほとんど気にならなかった。

 同社は新製品を軸に、日本のSMBマーケットの拡大・拡張を目指す。既に9月からビジネスパートナーやリセラーに向けた教育プログラムを実施している。同社のシステム製品事業ブランド・マーケティング&SMB担当ディレクターであるジェイソン・ダイズ氏は、新製品を「小さなIT環境で、大きなITの成果を生み出すもの」とし、SMBが今後ITを活用してビジネスを拡大する上で重要な製品であると語った。

ジェイソン・ダイズ氏 今後のマーケティング戦略について説明するジェイソン・ダイズ氏

 一方で、同市場では競合もひしめき合う。他社との差別化について、同社のシステム&テクノロジー・エバンジェリストである佐々木言氏は、特徴の1つに「トータル消費電力量の少なさ」を挙げた。既存製品「BladeCenter E」の最大消費電力が5300ワットであるのに対し、新製品は34%削減の3500ワットである。また、競合となるHPやNECの製品と比較しても消費電力は低いと述べた。

佐々木言氏 新製品の特徴について説明する佐々木言氏

 BladeCenter Sは、12月18日から出荷開始予定で、最小構成価格は40万9500円(税込み)。オフィスレディーキットは、販売時期、価格ともに未定。

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